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2022年にInternet Explorerサポート終了します。企業が備えるための方法を解説
「Internet Explorer(以下IE)」は、Webブラウザーの定番として長く業界を牽引してきました。しかし遂にバージョンは11でストップし、サポート期間も終了を迎えようとしています。
「Microsoft Edge(以下Edge)」という新しいブラウザーが提供されるようになった時点で、将来的にIEのサポートが終了するのは見えていたと言ってよいでしょう。ただし今でもIEを使っている場合は、早く対応しないと業務に支障が出てしまうかもしれません。
今回はIE11のサポートが終了するタイミングや使い続けるリスク、企業としての適切な対応方法などをご紹介していきます。
ターニングポイントは2022年6月!IE11サポート終了のタイミングまとめ
まずはIE11がサポート終了するタイミングを見ていきます。下の表をご覧ください。
製品名 | 終了月 |
Windows8.1 | 2023年1月 |
---|---|
Windows10 通常版 デスクトップ | 2022年6月 |
Windows10 通常版 IEモード | 2025年10月 |
Windows10 通常版 MSHTMLエンジン | 2025年10月 |
Windows10 Enterprise 2015 LTSB版 | 2025年10月 |
Windows10 Enterprise 2016 LTSB版 | 2026年10月 |
Windows10 Enterprise 2019 LTSC版 | 2029年1月 |
「Windows8.1」はタブレット用に元々制作されたOSであり、現在ではWindows10の陰に隠れています。ですからシェアはそこまで高くありませんが、まだOSサポート自体は継続しているので使われている方もいらっしゃるかもしれません。Windows8.1については、IE11のサポートが2023年1月まで続くことになります。
また
- Windows10 Enterprise 2015 LTSB版
- Windows10 Enterprise 2016 LTSB版
- Windows10 Enterprise 2019 LTSC版
といった製品は、Windows10の特殊なバージョンであり一部の企業が導入しています。中小企業では導入しているパターンが多いとは考えにくいので、除外して考えてよいでしょう。ちなみに上記製品版では、最長2029年1月までIE11への対応が継続することになっています。
問題は通常のWindows10です。通常のWindows10は最もシェアが高いので、中小企業としては通常版でのサポート終了タイミングをまずは確認する必要があるでしょう。
通常版でIE11を使うには
- 専用のブラウザーとしてデスクトップから立ち上げる
- EdgeからIEモードを使う
といった方法があります。
IE11をデスクトップアプリとして使っている場合、サポートが2022年6月で終了してしまうのがポイントです。純粋なIE11は、2022年6月をもって実質使えなくなります。
ただしEdgeからIEモードを使う方法では、サポートが2025年10月まで使える点もポイントです。EdgeからIEモードを使えば、IE11の完全再現とはいきませんが高い互換性でWebサービスを読み込めます。もしIE11でしか動かないサービスがある場合は、すぐEdgeのIEモードを使える体制を整えてみましょう。
ちなみに「MSHTMLエンジン」というのは、企業がアプリなどを制作する際IE11をレンダリングのパーツとして埋め込めるサービスです。もし利用している場合は、2025年10月までに他のレンダリングエンジンを探して導入する必要があります。
すでにEdgeシェアのほうが高い!IE11の利用継続はリスクが高いので要注意
Webトラフィック解析を行う「StatCounter」では、2021年度10月時点でのパソコンWebブラウザーシェアをグラフで公開しています。それによると
- Google Chrome:61.6%
- Edge:17.3%
- Safari:7.4%
- FireFox:7.3%
- IE:4.1%
となっており、すでにEdgeシェアのほうが圧倒的にIEより高い状況になっているのが分かります。
つまりMicrosoft社としても、これ以上IEとEdgeを両方サポートして負担を被るよりはEdgeサポートへ舵を切るほうがメリットの大きい状況です。IEをメインに使っている企業は、自分たちがシェアの低いWebブラウザーを使い続けているということをまず理解する必要があります。
IE11を継続して無理やり利用してしまうと、次のようなデメリットに直面することになるでしょう。
業務効率化を邪魔してしまう
IE11の読み込み速度は、現在速いとは言えません。性能的には後発のEdgeや、競合のGoogle Chromeといったブラウザーのほうが高いです。また見た目が古くて、若い方からは却って画面が見づらい点も弱点です。
さらに機能面でも不足している部分が多く、多様的な対応が求められる現代社会において活用するのが難しい側面もあります。たとえば「タブを複数開いて情報を確認しながら作業する」といったことがやりにくいので業務効率化が難しいです。
余計なコストが掛かる
IE11に対応したサービスを新規で制作するのは危険です。余計な工程が必要になってコストまでかさんでしまうかもしれません。また既存のシステムがIE11のみ対応のままでは、維持費がどんどん増えてしまう可能性もあるでしょう。
余計なコストを社内で発生させたくない場合は、速やかにIE11以外のブラウザーをベースにしたサービスやシステムを用意すべきです。
セキュリティ面で不安を残すことになる
IE11のサポート終了で一番困るのが、セキュリティです。サポート終了によりセキュリティパッチが配布されなくなるので、セキュリティホールは放置されたままになります。
標的型攻撃の目標が大企業からまだセキュリティが甘い中小企業へと移行しているように、中小企業は不正攻撃の格好の的になっています。よってセキュリティ面で不安のあるサービスやシステムを継続利用するべきではありません。
IE11サポート終了によって、ハッカーはIE11の弱点を見つけてすぐ攻撃しやすくなるでしょう。ホールが塞がれないので、攻撃を受けてしまうと被害が甚大になるリスクもあります。セキュリティ問題で信用を落としたくない方は、IE11を継続利用するのをやめてください。
IE11以外を推奨とするWebサービスへ対応できない
IE11は今後、より陳腐化していきます。企業が提供しているWebサービスの推奨ブラウザーからIE11が外されつつあるからです。
IE11を推奨ブラウザーとするのは、Webサービスのセキュリティ上好ましいことではありません。また対応すると保守・管理費などがかさんでしまうので、サポート終了をチャンスととらえている企業もいるでしょう。
何よりIE11と他ブラウザーでは、ページの読み込み方や機能が違います。よってIE11では対応していない機能を使うWebサービスが当たり前になると、IE11でサービスを読み込んだ場合機能不全になるリスクが増すことになるでしょう。
ちなみに自社提供のサービスがIE11ベースで構築されていると、IE11以外を使っている多くのユーザーに不満を持たれることにつながります。IE11ではなくEdgeやGoogle Chromeなどをベースとするサービスを提供してみてください。
余裕を持って始めよう!IE11サポート終了に伴い企業が対応すべきポイント
IE11サポート終了に伴い対応を行う場合は、余裕を持って移行の検証や様子見などをできる時間を確保しておきましょう。
誰がどんなブラウザーを使っているのか確認する
IE11を使っているメンバーが社内に1人でもいる場合、セキュリティ問題は残ったままです。できれば社内1人1人のブラウザー利用状況をチェックして、IE11を使っているメンバーが残っていないかチェックするのが賢明です。
1人1人を担当者がチェックするのは大変なので、管理ツールなどを使い作業を効率化してみてください。
社内や社外システムがIE11依存になっていないかチェックする
社内システムがIE11依存になっていないかチェックしてみましょう。
- IE11以外のブラウザーでもきちんとデザイン読み込みができるか
- IE11の機能でないと利用できない箇所がないか
といった点で確認を行い、IE11への依存度が高い場合はシステムの改修や新規導入などを行う必要があります。
オンプレミスの導入は面倒ですが、クラウドの場合は外部にサーバーや環境があるので導入がスピーディーです。経理システムといった業務にかかわるシステムを刷新したい場合は、クラウドの導入も検討してみましょう。
どんなブラウザーを代替で使うのか決定する
IE11の代わりになるブラウザーとしては、
・Microsoft Edge
・Google Chrome
・Mozilla Firefox
などがあります。
EdgeはIEの後継なので、IEモードの存在も含めて移行がしやすいブラウザーです。またGoogle Chromeのベースとなっている「Chromium」はEdgeを始めとした多くのブラウザーで使われているので、モダンなサービスを構築する場合はGoogle Chromeをベースにしてみるのもよいでしょう。
機能性や読み込み速度、セキュリティなどを比較して最適なブラウザーを導入して、社内で利用を統一できれば安心です。
まとめ
今回はIE11のサポートが終了するタイミングや使い続けるリスク、企業としての適切な対応方法などをご紹介してきました。
IE11は利用者が多かったブラウザーですが、現在ではEdgeと比較して影響力が小さいブラウザーです。機能面やセキュリティ面でも不安が残るIE11を使い続けるのは、サポート終了有無にかかわらずよくありません。
早めに依存脱却をする、移行できるブラウザーを導入するといった対応で企業の成長が止まらないようにしてみましょう。
※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。