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介護休業と介護休暇の違いとは?それぞれの対象者は?

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介護に直面する人は増えています。人事部門では社員から介護と仕事の両立や介護しながら働くための制度について相談を受けたことがあるのではないでしょうか。

介護休業と介護休暇の違いがどのようなものかご存知ですか。人事担当者でも制度について詳しくないかたもいるのではないでしょうか。

介護は本人からの申告がない限り、介護に直面していて困っていることがわからないものです。そのため、声を上げられずに離職するケースも見受けられます。私自身の経験でも離職の手続きの話をしながら、介護休業制度について説明した結果、離職を防げた経験があります。

この記事では人事担当者として介護休業や給付金の手続きを担当する筆者が介護休業と介護休暇の違いや給付金、それぞれの制度の概要や対象者、申請方法などについて詳しく解説します。


介護離職が増えている?

人事部門にいる私ですが介護による休職や離職の手続きをすることが増えています。厚生労働省の雇用動向調査でも、1年間に介護・看護を理由に離職した人は9万人以上です。2010年と比べると2倍に急増しています。

政府も対策を進めており「介護休業」と「介護休暇」を取得できるように企業に義務づけています。しかし、離職者が増えていることを考えると制度が充分周知されているとはいいがたいようです。

制度はあっても介護休業や介護休暇制度を利用した社員がいないため、人事担当者も手続きについて詳しくなないこともあるようです。


介護休業と介護休暇はどんなときに使える?

介護休業と介護休暇はどちらも要介護状態の家族の介護のための制度です。別々の制度で両方を利用することもできます。対象となる家族を確認いておきましょう。

○対象家族

配偶者、父母、子、孫、祖父母、兄弟姉妹、配偶者の父母

○対象となる要介護状態

介護保険制度で要介護2以上の認定を受けていること。受けていない場合であっても、2週間以上の期間にわたり常時介護が必要な状態であること。

就業規則で規程化されていなくても、育児・介護休業法によって制度の利用が認められています。
それぞれの制度を詳しくみていきましょう。


介護休業制度とは

介護休業制度は要介護状態の家族1人につき通算93日まで休業を取得することができる制度です。3回まで分割で利用できます。

例えば、次のように3回分けて取得することもできるのです。

1回目:45日
2回目:20日
3回目:28日 計93日

この93日は歴日数です。会社の休日も含めてカウントしますので注意しましょう。

対象は正社員だけではありません。1年契約の有期雇用契約の労働者も他の条件を満たせば利用可能です。
介護休業を取得する場合は、取得を希望する労働者から書面等で事業主に申出ます。事業主は介護対象家族の証明書など必要書類の提出を求めることができます。

介護期間についても労働者が希望を申出、事業主は申出の内容を確認して通知書などでその期間の介護休業を認める旨を通知します。

介護休業開始後に期間を変更したい場合は、2週間前までに申出することで1回のみ繰り下げが認められます。また、休業開始日前であれば撤回することも法で認められています。介護休業期間は無給です。会社の制度として法律を上回る待遇をすることは問題ありませんので、介護休業の期間中も賃金の一部支給することは認められています。

介護休業中の社会保険は、育児休業とちがい休業期間中に厚生年金や健康保険料が免除されません。休業する社員には事前に説明するようにしましょう。


介護休暇制度とは

介護休暇は介護対象の家族1人につき年5日まで介護のための休暇を取得できる制度です。対象家族が2名以上であれば年10日まで取得できます。3名でも10日が上限です。

法的に申出ルールはありませんが、会社によっては就業規則で定められていたり、諸届用紙に専用の届出用紙が用意されていることがあります。

介護休暇制度は法改正により令和3年1月1日から時間取得が可能になります。労働者が希望すれば半日単位から時間単位で取得できるようになるのです。また、全労働者が取得できるようになります。

改正前は1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できませんでしたのでパートなどの短時間勤務者にも対象が拡大したことになります。

仕事によっては時間単位で休暇の取得が困難な仕事もあります。その場合は労使協定を結ぶことで、その業務に就く労働者を対象外にすることができます。それ以外にも、勤続6カ月未満の労働者と週の勤務日数が2日以下の労働者を労使協定で対象外にすることが可能です。

介護休暇は無給です。会社の方針で法律を上回る待遇として有給にしても問題ありません。


介護休業給付金について

介護休業も介護休暇も基本は無給です。希望日に単発で休む介護休暇はまだしも、一括取得すると3カ月もの長期の休業が可能な介護休業は、取得した社員を経済的に厳しい状況にすることもあります。
介護休業者の経済的支援として、雇用保険に「介護休業給付金」があります。介護休業を取得すると給付金を受け取れる制度です。介護休業を取得した日が対象で、介護休暇を取得した日は支給対象外ですので注意しましょう。

介護休業給付金の詳しい要件などを確認します。

○給付金の対象者

  1. 雇用保険に加入している介護休業の取得者で、介護休業前の2年間のうち12カ月以上、月11日以上勤務していること
  2. 休業開始前の賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
  3. 休業した賃金計算期間の就業している日数が10日以下であること。

○給付金の対象期間

介護休業を取得している期間。分割取得している場合も通算93日まで。

○給付金の支給額

支給額は休業開始時賃金日額をもとに算出します。介護休業開始前6か月間の賃金を180日で割った額に介護休業日数をかけた67%の金額となります。

計算式:休業開始時賃金日額×介護休業日数×67%

この計算式が原則ですが、会社が休業中も賃金の一部を支給している場合は会社からの支給額により介護休業給付金が減額されます。


引用:厚生労働省 パンフレット

会社が支給している金額と介護休業給付金の合計が休業前賃金の80%を上限としています。会社側が手厚く介護休業中でも13%以上の賃金を支給していても、給付金が減額されるだけで労働者の手元に入る金額はかわらないのです。


まとめ

介護と仕事の両立は社会の大きな課題です。人事部にいると介護するために利用できる制度はないかとの問い合わせと受けることが増えています。女性だけでなく男性からの相談もあります。

介護に直面しているのは、40代・50代のベテランで後進の指導している年代が多く、離職は会社にとって大きな損失になることもあります。

相談を受けた人事担当者が制度を説明することで離職を食い止められることもありますので、介護休業と介護休暇、給付金について理解しておくとよいのではないでしょうか。


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