更新日:2020/05/12
現在世界で、コロナウイルスが猛威を振るっています。
中国の武漢から蔓延したウイルスは世界にどんどん広まり、感染者は160万人、死者は9万5,000人を突破しました(2020年4月10日午前時点、米ジョンズ・ホプキンス大システム科学工学センター発表)。また日本でも国内感染者が5,000人を突破し、死者もすでに88人出ています(2020年4月9日時点、総務省発表)。
特に資金の少ない中小企業は、コロナウイルスにより経済活動に大きな影響が出ているので油断ができません。駆け込み需要や巣ごもり消費層を取り込んで小売業などは売上が伸びていますが、逆に旅行業や飲食業などは集客に大きな悩みを抱え売上を大きく落としている危険な状態です。
日本政府は現在の企業経営状況の悪化を重く受け止め、さまざまな対策を講じています。その一つが、「セーフティネット保証」です。
今回はセーフティネット保証とは何か、そして各種類の比較や支援に関連して補助金制度についてご紹介していきます
セーフティネット保証とは、日本の経済危機時に受けられる特別な融資制度です。2020年2月28日、日本政府はコロナウイルスによる中小企業の資金繰り悪化を防ぐため、緊急対策として「セーフティネット保証4号」を発令しました。
通常企業が融資を受ける場合は、
の主に2種類が利用可能です。
実績など信頼性がない企業は金融機関と直接取引を行うのは難しいので、信用保証協会を通して融資を引き出します。ただし信用保証協会を利用すると保証限度額が発生し、
というように融資額が制限されてしまいます。
結果的にコロナウイルスで業績が悪化しているのに各種融資を十分に受けられず、倒産の危機に陥る企業も出てくるでしょう。
セーフティネット保証は、通常の融資とは別に利用できる制度です。保証協会付融資をすでに利用している場合でも、別に設けられている上限まで融資を引き出せます。
セーフティネットには、
の2種類が用意されています。
セーフティネット保証4号には、次の特徴があります。
突発的災害に対する保証制度である
セーフティネット保証4号は、突発的災害に対する保証制度です。
など、各災害が発生して経済に大きなダメージが発生する際に適用されます。
過去の例だと、
などの際、政府が発動を行っています。
当然感染症も災害の対象になるのですが、過去日本政府がウイルスを原因に4号を発動した事例はありませんでした。それだけコロナウイルスが異常で、日本経済にも災害レベルの大きな悪影響をもたらすと考えられているとわかります。
地域に対して発令される
セーフティネット保証4号は、通常災害が発生した地域に対して発動される制度です。つまり災害を被った地域限定の制度であり、災害が発生せず影響の発生していない地域は対象になりません。
ただ今回のコロナウイルスは感染症であり、全国に感染者が広まっている危険な状態です。現在セーフティネット保証4号は地域限定ではなく、実質全国をカバーする融資制度として機能しています。
最近1か月間の売上高又は販売数量、3か月間の売上高等によって対象が決まる
セーフティネット保証4号の対象になるためには、
上記条件に当てはまる場合です。
たとえば
などの場合は条件をクリアしていないので、4号の対象になりません。
4号により融資を受けたい際は、条件に照らし合わせて自社が対象になるか確認しておきましょう。
債務の100%が保証される
セーフティネット保証4号は、債務の100%が保証されます。金融機関としては貸し倒れのリスクがないため、安心して企業へ融資を行いやすくなります。
セーフティネット保証5号には、次の特徴があります。
業況悪化に対する保証制度である
セーフティネット保証5号は、業況悪化に対する保証制度です。
業況悪化するのは災害時も変わりませんが、5号の場合は災害の影響は特に考慮されていません。性質上5号は4号のように政府が発動した場合にのみ利用できるタイプではなく、常時利用できるタイプになります。
指定業種に対して発令される
セーフティネット保証5号は、地域ではなく指定業種に対して適用されます。全国的に業況が悪化している指定業種が、融資を受けられる仕組みです。
現在コロナウイルスにより、従来の指定業種だけでは対応しきれないほど各業種に影響が出ています。そこで政府は指定業種を拡大し、令和2年度第1四半期には587業種を指定することにしました。
最近3か月間の売上高、原油等の仕入価格などによって対象が決まる
セーフティネット保証5号の対象は、
に該当する企業です。
現在決まりが緩和され、
と見込期間も含めて売上高等の減少計算ができるので対象が広がっています。
「セーフティネット保証4号の適用を受けられなかった」という企業も、5号の適用で融資を受けられる可能性があるのでチェックしておきましょう。
債務の80%が保証される
セーフティネット保証5号では、債務の内80%が保証されます。全額が保証されているわけではないので、貸し倒れを気にして融資を渋る金融機関も出てくるかもしれません。
セーフティネットの他にも、各都道府県ではコロナウイルスに対応した補助金制度を実施して中小企業のサポートを行っています。
ここからは各都道府県の補助金を、一部例としてご紹介していきます。
青森県 ビジネスサポート販路開拓補助金
「青森県 ビジネスサポート販路開拓補助金」は、青森県内の中小企業者・個人事業主がコロナウイルスで業績悪化している場合に使える補助金制度です。
を条件に、商品開発や宣伝などの資金調達をサポートします。
長野県 新型コロナウイルス感染症緊急経営支援
「長野県 新型コロナウイルス感染症緊急経営支援」は、コロナウイルスに感染して名前が公表された長野県内の事業所に適用される補助金制度です。
事業所が一時閉鎖している間の人件費の一部を、
の範囲で資金サポートします。
三重県 三重県経営向上支援新型コロナ危機対応補助金
「三重県 三重県経営向上支援新型コロナ危機対応補助金」は、コロナウイルスで業況が悪化した中小企業が対策を行う際の経営計画作りを支援する制度です。
となっています。
今回はセーフティネット保証とは何か、そして各種の違いや補助金について解説しました。
セーフティネット保証は、コロナウイルスで業績悪化している中小企業の助け舟になる存在です。資金繰りが本格的に悪化する前にぜひ利用しておきましょう。
またセーフティネット保証以外にも補助金制度を利用すれば、資金繰りを安定させられます。各地で補助金制度が異なるので、自分の地域の補助金をぜひ調べてみてください。