公開日:2019/09/10
企業が経営判断を行うには、社内・社外を問わずあらゆるデータを分析する必要があります。しかし1つ1つのデータがバラバラに管理されていると、それらのデータを集約して活用できるようにする作業は時間も手間もかかります。データをスムーズに統合し、経営判断に活かせるツールが「BI(Business Intelligence)」ツールです。
BIツールを活用すれば、社内データの統合だけでなく、多角的分析や深堀した分析など、さまざまな方法でデータを分析して経営判断につなげることができます。さらにシミュレーション機能を使えば、会社の売上など重要な指標が将来どうなるかも簡単に確認できます。
今回はそんなBIツールとは何か、そしてBIツールを導入するメリットやデメリットまで解説していきます。「BIツールとは何か知りたい」「BIツール導入を検討しているが、あらかじめメリットやデメリットを理解して参考にしたい」という方はぜひご覧ください。
BIツールとは、「意思決定に必要なさまざまなデータを統合して分析し、迅速な経営判断に活用する」ためのツールです。主に「データウェアハウス」や「データマート」など、社内に蓄積された大量のデータを統合し、分析作業を行います。
BIツールが提供され始めたのは1980年代、発祥はアメリカです。コンピューター処理能力向上やデータウェアハウスの確立など、BIツールを活用できる技術が同じ時期に実現したことでBIツールは一気に広まり、現在では用途に応じたさまざまなBIツールが各ベンダーから提供されています。
例えば支社のたくさんある大手企業用の「エンタープライズBI」、スマホ上でBIツールを操作して分析などが可能な「モバイルBI」など、自社に合わせた最適なBIツールを導入することで、最終的に売上拡大にも大きな効果が見込めます。
BIツールには、次のようなメリットがあります。
BIツールのコンセプトとして、データ分析の専門家に任せなくても簡単に操作が可能であるという点が挙げられます。
例えばデータの統合から分析など、経営判断を下すのに必要な各データの処理工程をBIツールで自動化することで、難しい作業を操作担当者が行う必要がありません。また画面デザインも工夫されており、操作ボタンなども初心者がわかりやすいようになっています。
経営判断を下すために使われるという性質上、経営層がBIツールを使うこともあります。そして経営層の人間が必ずしもIT分野に詳しいとは限りません。そのためBIツールは、簡単な操作で使いやすい「可用性(必要なときにいつでも使えるという性質)」が求められるのです。
BIツールを導入すれば、
といった各種機能で、いろいろな分析が可能になります。
データレポーティング機能では、「ダッシュボード(BIツールのホーム画面のようなもの)」に現在のデータを表示してレポートします。データはグラフなどでわかりやすく表示されるので、誰でも簡単に概要を把握できます。
さらに必要なデータを可視化してすぐに調べられるだけでなく、設定した目標に関する数値が急激に上がったり下がったりしたときもすぐ通知されるので、業績にかかわるトラブルにもいち早く対応できます。
「OLAP分析」は、複数の関連データを紐づけながら分析する場合に使います。
例えば指定された商品が月に何個売れているか、売れた際の店舗周辺の交通状況や天候などはどうなっていたかなど、関連させて調べたいデータをまとめて分析します。これにより「7月は客足が鈍るので、キャンペーンを開催して集客を増やそう」など、新しい経営戦略を立てることなどが可能です。
「データマイニング」はデータを深堀して、新しい法則性を見出すときに使われる機能です。
特徴的なのは人的思考を介さずに、コンピューターのみの純粋な処理でデータ同士の関係性を発見する点です。これにより人間の思考では思いつかないような新しいビジネスチャンスが見つかる可能性があります。
例えば「シャープペンシルを注文するユーザーは、名刺もいっしょに注文する可能性が高い」など、社内では思いもしなかったような有益な発見ができるようになります。
BIツールの機能は、既存のデータを分析するだけではありません。将来データがどうなるのか予測する機能まで用意されています。
今までのデータをもとに各数値のパターンを把握。シミュレーションして将来的な予測をデータ出力可能です。例えば「自社の主力商品Aの売上が、5年後まで先取りしてどのように変化するのか知って、てこ入れが必要か調べたい」という場合にも、主力商品Aのデータをシミュレーションして、5年後の予測データを表示して経営判断に活かせます。
BIツールには、次のようなデメリットもあるので注意してください。
BIツールは当然ソフトウェアの一種ですから、導入にはコストがかかるため、自社に合った選定も重要です。「とりあえず導入しておけば大丈夫」などと安易に考え、安いBIツールを導入すると、後々無駄になってしまう可能性があるので慎重な選定をしましょう。
BIツールは確かに初心者でも使いこなせるツールです。しかし初心者でも使えるのと、見ただけで簡単に使えるようになるのとはまた別の話です。
特にOLAP分析など、一部の分析機能はある程度操作に慣れないと使いこなすのは難しいでしょう。BIツールを導入するときは、操作者が使いこなせるレベルまでBIツールについて学習する必要もあります。
ここからは、実際にBIツールを導入するときのポイントを解説します。
特徴が異なるBIツールが各ソフトウェアベンダーから多数発売されています。そのため「とりあえず導入しよう」ではなく、「自社の目的を明確にし、その目的をクリアできるBIツールを検討する」という視点が重要です。
例えば「出先でもBIツールの操作が必要」という場合は「Android」や「iOS」に対応したアプリも配布されているBIツールが有効です。「ベンダーからサポートを受けたい」という場合はチャットサポートや電話サポートが充実しているBIツールなど、自社の目的や使い方に合ったBIツールを選びましょう。
BIツールは経営層だけでなく部署ごとなど、社内全体で活用する場面も増えてきました。そのためBIツールを使うときは現場の意見も取り入れながら、どうすればBIツールをフル活用できる環境を構築する必要があります。
経営層だけの判断で導入せず、利用する現場の意見も取り入れ、全社で活用できるBIツールの選定を行ないましょう。
今回はBIツールとは何か、そしてそのメリットやデメリット、導入時のポイントなどもご紹介しました。
BIツールを導入すれば、誰でも簡単にデータを分析して、経営判断に活かせるようになります。ただし多種多様なBIツールがあるので、導入にあたっては自社にどういう課題があって何を解決したいのかを明確にするなど、導入前の準備をしっかり行っておきましょう。
BIツールでデータを有効活用し、的確でスピーディな経営判断を下せるよう導入をご検討ください。