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APIとは?ソフトウェアやアプリケーションの開発時間短縮に。
「自社でソフトウェアやアプリケーションを開発したい」という場合、1からプログラムを作ると膨大な時間がかかります。また既存のソフトウェアやアプリケーションと同じような機能・インターフェイスなどを1から開発していても、これも時間の無駄になってしまいます。
そこでソフトウェアやアプリケーションをシンプルに開発し、開発時間を短縮できる技術が「API(Application Programming Interface)」になります。例えば、パソコンやスマホでウェブサービスに登録するとき、「Yahoo!Japan」や「Twitter」などと連携して簡単に登録が完了したことはありませんか?あれはAPIを利用してユーザー認証を行っている例になります。
今回は最近よく耳にするようになったAPIについて、概要や特徴、そして注意点などをご紹介します。「自社で開発するソフトウェアやアプリケーションの開発時間を短縮して、シンプルに開発ができるようにしたい」という方はぜひご覧ください。
APIとは
APIをまず端的に説明してしまうと、「自社のアプリケーションと、外部のアプリケーションのプログラムを連携させるための橋渡しを行う技術」のことをいいます。
ソフトウェアやアプリケーションの一部に、外部から呼び出せるようプログラムが公開されているものがあります。。これらのプログラムを自社アプリケーションで利用したいユーザーは、この公開されているプログラム利用時のルールや注意点などを取得し、利用できます。「オープンソース(外部のプログラムの中身までが公開されている)」である、無いに関わらず、連携部分だけ公開されている技術ががAPIです。
APIを利用すると特定のコマンドで外部アプリケーションのプログラムを呼び出すことができ、自社アプリケーションに、外部アプリケーションの機能を追加しながらアプリケーション開発が可能になります。このようにアプリケーションとアプリケーションをつなげることで、機能性を拡張し互いに利益を得る状態を生み出せるのが大きなメリットになります。
インターネットの普及によって現在最も普及しているのが「WebAPI」です。
ベンダーやプログラマーなどは、外部の個人や企業がアプリケーションに機能を追加できるように、さまざまなプログラムをインターネット上で公開しています。そしてWebサイトなどのデータ送受信を行う「HTTP」や「HTTPS」経由で、外部アプリケーションを呼び出すときに利用するAPIがWebAPIになります。
WebAPIは従来のAPIと比較して汎用性の高さがメリットで、自社アプリケーションと外部アプリケーションのプログラム言語やOSが違っていても連携できたり、Webアプリケーションを制作する際も簡単にAPIが利用できたりします。先ほどご紹介した「Yahoo!Japan」や「Twitter」などの認証機能もWebAPIの一種です。
APIのメリットとは
APIには、次のようなメリットがあります。
- アプリケーション開発の時間を短縮できる
- ユーザーの利便性が向上する
- Webを使ってたくさんのAPIが無料で実装できる
アプリケーション開発の時間を短縮できる
アプリケーションを1から開発すると、費用や時間がかかります。
APIを利用すればログインなど、どのアプリケーションでも共通のプログラムを外部アプリケーションから呼び出すだけで完結できます。また開発者は自社で独自に追加したい機能の開発にリソースを集中できるのでアプリケーションの品質が向上しますし、費用を抑えられ、リリースまでの期間も短くなります。
ユーザーの利便性が向上する
多様なアプリケーション開発をサポートする目的で、「Google」や「Amazon」など複数の大手企業がAPIを無料で提供しています。こういったAPIを利用すれば、ユーザーにも大きなメリットがあります。
例えばWebアプリケーションに地図表示や操作機能を付ける場合、1から自社で制作すると膨大な時間と費用がかかるうえに、ユーザーにとって見慣れない、操作しにくいインターフェイスになる可能性もあります。対して、Googleが提供している「Google Maps Platform(旧Google Maps APIなどが統合されたサービス)」を利用すれば、多くのユーザーに定評のあるWebサービス「Google Map」の機能を自社Webアプリケーションで簡単に利用でき、また、普段スマホやPCから利用しているGoogle Mapのインターフェイスを利用できるのでユーザーの利便性も上がります。
このように、誰でも見慣れているWebサービスをAPI経由で活用すれば、自社アプリケーションを操作するユーザーの利便性向上にもつながります。
Webを使ってたくさんのAPIが無料で実装できる
APIは「Google」や「Amazon」などの大手企業を始めとして、個人プログラマーや中小企業までが独自のAPIを提供しています。インターネット上で検索すれば、たくさんのAPIサービスに関するWebサイトを見つけることができます。しかも無料で利用できるAPIも多いので、アプリケーション開発時のコストも抑えられます。
自社アプリケーションに搭載したい機能を簡単に取捨選択して取得・実装でき、開発時のコストを抑えられるのもAPIのメリットです。
API導入時の注意点
API導入時には注意点もいくつかあります。
- プログラム関係の知識は必須
- APIのアップデート情報を確認しておく
プログラム関係の知識は必須
確かにAPIを使えばシンプルにアプリケーションを開発できるようになります。ただしプログラムをまったく知らない初心者が簡単にアプリケーションを開発できるようになるというわけではありません。
例えば自社アプリケーションでWebAPIを利用する際は、外部アプリケーションのプログラム使用の許可を取るための認証キーを埋め込んだりする必要があります。この際「HTML」「CSS」「JavaScript」など、「フロントエンドエンジニア」としての知識が必要になります。
「API=プログラムをまったく知らない初心者でも簡単にアプリケーションが制作できる技術」ではないので注意しましょう。
APIのアップデート情報を確認しておく
APIは、自社ではない外部サーバーにプログラムが存在します。またそれらの管理はAPI開発者にあるため、APIがある日突然使えなくなる事例もあります。
例えば個人や中小企業などで制作されたAPIの場合、メンテナンスの頻度が低いケースもあるため、アップデートされてないケースもあります。その場合、自社のソフトウェアやアプリケーションが、新しいシステムに対応していたとしても、API部分が対応してなかったためサービスとして利用できなくなる可能性もあります。また大手企業のAPIでも、規約改定などでAPI利用回数が制限されたり、APIの要件が変わったりするなどもあり、定期的にAPIの疎通を確認するなどの対応が必要になってきます。
APIの変更で、一番大きなニュースになったのは「Google Maps API」です。「Google Maps API」は2018年6月に「Google Maps Platform」に統合され、料金体系などが大きく変わりました。そして「Google Map」埋め込み利用時にAPIキーが必要になり、以前から「Google Maps API」を利用しているところはAPIキーを新たに埋め込み更新を行わないと、「Google Map」が完全に表示されなくなりました。
「Google」では事前に「Google Maps API」統合及び対応の告知をしていましたが、いまだに「Google Map」を更新していないため、「Google Map」がグレーアウトで表示されているWebサイトも存在します。
このようにAPI利用時は自社アプリケーションに導入して終わりではなく、自社で管理していない、APIに関するアップデート情報などの確認が重要になってきます。
まとめ
今回はAPIの概要や特徴、そして導入時の注意点まで解説してきました。
自社でソフトウェアやアプリケーションを開発するときはAPIを上手に使えば、ユーザーの利便性を考えた質の高いアプリケーションを短期間で制作できるようになります。また、多くの無料APIがインターネット上で公開されているので、実装したい機能に合わせて取捨選択できます。
ぜひAPIを活用して、自社アプリケーションを便利に使ってみませんか?
※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。