休憩だけじゃもったいない!
おもしろ系サービスエリアパーキングエリアの旅「伊勢湾岸自動車道・刈谷パーキングエリア(刈谷ハイウェイオアシス)」

2020/09/01 00:00

■PSS会報誌 2020年 秋号(2020.09.01発行)に掲載された記事です。現在の情報とは異なる場合があります■

新型コロナウイルスの感染拡大対策による外出自粛で、2020年の春は我慢の季節になりました。自由に外出できるようになったら、遠出のドライブを楽しみにしていた方も多いでしょう。
その行き先として、かつては通過地点だった高速道路のサービスエリア/パーキングエリアが人気を呼んでいます。

刈谷ハイウェイオアシスのランドマークは全高60mの観覧車。600円で一周約12分の絶景が楽しめる。夜には7色のイルミネーションでライトアップ

人気急上昇中のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の代表格、刈谷パーキングエリア

3密という新語がすっかり市民権を得てしまった(?)感のある昨今。それを避けての秋のレジャーには、やっぱり周囲の人を気にせずに家族で移動できるマイカーが便利。早期の経済活性化のために、さまざまな観光振興策も考えられているようです。

そんなドライブの目的地として、最近人気急上昇中なのが高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)です。2005年の道路公団民営化などをきっかけに、隣接する一般道路から入れる歩行者専用通路を設けてエリア内の施設を利用できるようにしたり、逆に高速道路外の道の駅や公園などにSA、PAの利用者が行き来できたりする例が増えています。さらに進めて、エリア近くの停留所から地域の名所や中心街の散策を楽しめる周遊バスを走らせて、町おこしの起点の役割を果たしているところもあります。

中にはSA、PA自体が観光地として高い人気を得るところも増えています。その代表格が、伊勢湾岸自動車道の豊田南-豊明インターチェンジ間にある刈谷PAです。

一般にPAはSAより規模が小さく、トイレや売店などの最低限の施設しかないところもありますが、ここはまったく違います。上下線用が隣接した駐車場は、小型・大型車用を合わせて約600 台。加えて、近くを走る一般道路からの駐車場も約1000台分を確保。さらにJRや名古屋鉄道の駅からの連絡バスも出ており、それらを利用してこの施設を訪れ、食事や買い物などの消費をした来場者は、年間775.5万人(2019年度消費件数実績)におよびます。

ちなみにこの件数は、東京ディズニーランド&シーやユニバーサル・スタジオ・ジャパンの入場者数に迫るというから驚きです。

その秘密は、たんなる休憩所の域を越えた、充実した施設群。レストランや売店、トイレといったPA本来の施設も豊富かつキレイで、とくにソファまで置かれた女性用トイレは、中でお弁当を食べる人さえいるという有名スポット。地元の有名店が運営する「えびせんべいの里」などの個性的なショップや、地元産の野菜や近海物の魚がお手頃価格で並ぶ直売所も人気の理由でしょう。

しかしそれ以上に、ここは遊び場所としても魅力的なのです。和太鼓の演奏やパフォーマンスなどのアトラクションが開催されるステージや、子供が水遊びできる噴水など、無料で楽しめる施設も豊富。隣接する公園にはゴーカートやメリーゴーランドなどのアクティブな遊具があり、ランドマークとなっている高さ60mの観覧車に乗れば、中京エリアが一望のもとに見渡せます。足湯も備えた天然温泉も、それだけを目的に訪れる人もいる名所。家族で一日いても飽きない娯楽施設なのです。

刈谷PAのように、高速道路の付帯施設という域を越えた複合施設はハイウェイオアシスと呼ばれ、全国に約30か所が整備されています。従来と同じ高速道路専用施設でも、温泉や宿泊施設があるSA(東名足柄上り線ほか)など、一度は覗いてみたいSA、PAは数多くあります。

ぜひこの秋のドライブの目的地としてみてはいかがでしょう。

ハイウェイオアシスに含まれる岩ケ池公園には、ゴーカートやメリーゴーランドなどの施設もあり、リーズナブルな料金で楽しめる。子供が水遊びできる噴水やステージでのさまざまなイベントなど、無料のアトラクションも豊富だ

この記事の執筆者

横田 晃(よこた あきら)

ライター

アニメーション雑誌を皮切りに、自動車雑誌や男性誌の編集者として多くの新雑誌やヒット企画の立ち上げに参画。94 年に独立後も、芸能インタビューから政治経済まで、幅広いジャンルの企画・制作・執筆に携わる。