更新日:2025/05/16
以下は、『PCA hyper 会計シリーズ』『PCA 会計シリーズ』『PCA 医療法人会計シリーズ』の機能についての説明です。
費用科目や収益科目(損益計算書科目)、貸借科目も含めた全科目を部門管理されている場合、共通の部門や特定の部門で一括計上した金額を任意の割合や一定の比率で各部門に振り分け(配賦:ハイフ)をすることができます。
配賦を行うことで、より正確な部門ごとの集計が可能になります。
今回は、配賦入力機能の「自由配賦」についてご案内します。
※「Point 配賦入力について」をご参照いただいてから本記事をご覧いただくことをお勧めします。
※配賦入力機能は『PCA 会計 システムA』『経理じまん(jimanを含む)』には搭載されていません。
配賦入力では、配賦先の部門を指定する[部門配賦]のほかに、計上した科目とは別の勘定科目や補助科目へ配賦を行う[自由配賦]があります。
今回は共通部門で発生した「水道光熱費(販売費及び一般管理費)」を「水道光熱費(製造原価)」と「水道光熱費(販売費及び一般管理費)」でほかの部門に配賦するケースをご紹介します。
なお、本記事では「水道光熱費(販売費及び一般管理費)」を「水道光熱費」、「水道光熱費(製造原価)」を「(製)水道光熱費」として表記します。
全体の費用として「水道光熱費 110,000円(税込:内税自動計算)」を共通部門として計上します。
共通部門に計上された「水道光熱費」に対し、「水道光熱費」を営業部門と管理部門、「(製)水道光熱費」を開発部門、製造部門へ配賦するため配賦金額を直接入力する方法と、配賦比率を入力する方法の2種類についてご案内します。
「データ入力」-「配賦入力」へと進みます。
配賦をおこなう元になる伝票は4月10日の伝票日付となりますので、今回は[集計期間]は4月10日とします。
複数の伝票から金額を集計する場合は、任意の集計期間でご指定いただいてもかまいません。
[配賦選択]には[部門配賦]※と[自由配賦]がありますが、今回は[自由配賦]を選択し、[配賦元指定]は[個別指定]とします。なお、[配賦パターン指定]につきましては後述します。
※[部門配賦]では配賦対象科目を異なる部門に対して配賦入力をすることができます。
詳しくは「Point 配賦入力について」をご参照ください。
[配賦元指定]を[個別指定]とした場合、配賦元になる部門や勘定科目を選択します。
今回の配賦元部門は一括で計上している[000 共通部門]、配賦元科目は[水道光熱費]となります。
「税込で集計する」にチェックを付けた場合、配賦元金額は税込金額で集計されますが、仮払消費税は配賦対象とはなりません。
各種帳票でご確認いただく場合、税抜で集計を実行しても税込金額で反映されますのでご注意ください。
配賦元部門からは税込金額で相殺されていますが、仮払消費税対象にはならないため、
税込金額で配賦されていますが、税区分は[対象外]となります。
集計を実行すると、以下の画面が表示されます。
※各項目の説明につきましては、「Point 配賦入力について」をご参照ください。
配賦先の勘定科目や部門は、[配賦先勘定科目/補助科目/部門]欄に、配賦金額は[配賦金額]欄に直接入力することができます。
※配賦元の対象となる金額(配賦対象金額)と各部門へ配賦を行う金額に差異がある場合、[差額]欄に金額が表示されます。
この場合、配賦伝票の貸借が一致しない状態となるため、配賦伝票の登録ができません。
なお、差額があるまま伝票を登録すると、以下のメッセージが表示されます。
こちらのメッセージが表示された場合は、[差額]欄の金額が0円になっていることをご確認ください。
各部門の入力した比率から配賦金額を計算し、配賦金額を設定します。
今回は配賦を行う割合ですが、部門ごとの人数、面積などの実数も入力可能です。
< 例 >
共通部門へ一括計上した水道光熱費に対し、「水道光熱費」を管理部門で10%、営業部門で30%とし、「(製)水道光熱費」を開発部門で25%、製造部門で35%部門の比率で配賦する。
各部門の[比率]欄へ配賦を行う割合を入力することで、自動計算された配賦金額が反映されます。
なお、比率を入力した際の各部門への配賦金額は以下の通りに算出されます。
配賦金額※ = 配賦対象金額 × 配賦比率 / 配賦比率の合計(小数点以下切捨て)
※[比率]で配賦入力を行う場合、端数が生じる可能性があります。
端数が生じた場合、配賦比率が一番大きい部門へ加算します。
また、同じ配賦比率の部門が存在する場合は、先頭に近い行に対して加算します。
端数が生じる場合は金額をご確認いただき、必要に応じてご修正ください。
配賦入力を比率で振り分ける際に各部門へ手入力することもできますが、決まった比率で月毎に計上する場合などは「配賦パターン」として、あらかじめ登録しておくと便利です。
登録した「配賦パターン」は配賦入力を行う際に呼び出すことができます。
【配賦方法②:比率で配賦する】でご案内した画面から配賦パターンを登録することができます。
比率を入力した状態で配賦パターンをクリックすることで配賦パターンの登録画面が表示されます。
コードや配賦パターン名を入力し、比率をご確認のうえ登録してください。
配賦伝票を入力する前に、「配賦パターン」を登録しておくこともできます。
「前準備」-「配賦パターン」-「配賦パターンの登録」より、「新規」アイコンをクリックします。
今回は上記でご紹介した水道光熱費について、「水道光熱費」と「(製)水道光熱費」を各部門に比率で配賦する例をもとに設定します。
「コード」や「配賦パターン名」は任意でご入力ください。
「配賦選択」は「自由配賦」、「配賦元部門」は「共通部門」選択し、「配賦元科目」は「水道光熱費」を選択します。
「配賦率入力」とすることで、各部門への配賦率をあらかじめ設定をすることができます。
設定した配賦パターンを「配賦入力」で使用する場合は、配賦入力画面の「条件指示」より
[配賦選択]を[4:自由配賦]、[配賦元指定]を[配賦パターン指定]にすることで、登録した配賦パターンを選択できるようになります。
配賦パターンを指定し、配賦入力画面に進むことで、あらかじめ設定していた配賦元部門や配賦を行う勘定科目、各部門へ配賦をおこなう比率もセットされた状態になります。
伝票日付や摘要文などをご確認いただき、登録してください。
配賦入力で登録した伝票を「日常帳票」-「仕訳伝票発行・チェックリスト」で確認すると、以下のような表示になります。
共通部門で借方計上していた「水道光熱費」が貸方に計上され、配賦元の金額が相殺されます。
また、借方には配賦先の勘定科目として「水道光熱費」および「(製)水道光熱費」が指定の部門に計上されます。
配賦入力で設定した各部門の仕訳に対して、摘要欄も反映されます。
金額を直接入力して配賦した場合と貸借の科目や金額は同じ動きになりますが、比率で配賦をした場合、各仕訳行で設定した比率が摘要欄下部の[数字2]欄に反映します。
「自由配賦」を使用することで、計上した費用科目などの金額を他の勘定科目や補助科目、部門へ振り分けることができ、仕訳入力の手間を減らすことが見込めます。
説明は以上になります。