更新日:2026/05/21
「今日のお昼、何を食べたっけ?」
そう問いかけて、ふと手が止まる。
毎日を忙しく過ごしていると、食事を摂ることがいつの間にか「作業」のようになり、無意識のうちに胃に流し込んでしまっていることがあります。
目の前のタスクを追いかけ、気づけば呼吸もどこか浅くなっている…。
管理栄養士として多くの方の生活に触れ、また私自身も慌ただしい日々を送るなかで感じるのは、不調の多くは「がんばりすぎ」だけではなく、“自分の心地よいリズムを見失ってしまうこと”から始まるのかもしれない、ということです。
そんながんばる毎日に、無理なく自分を調えるヒントとしておすすめしたいのが、「二十四節気(にじゅうしせっき)」を道しるべにした『楽ちん養生』です。
「春分」や「夏至」といった言葉。
カレンダーの隅に小さく書かれているのを見たことがあると思います。 二十四節気とは、1年を24等分した、いわば「季節の精密なものさし」のこと。
昔の人たちは、月の満ち欠け(旧暦)だけでは実際の季節とズレてしまうため、太陽の動きをベースにしたこの暦を「暮らしの道しるべ」にしました。 「いつ種をまけば、命を育む食べ物が一番元気に育つか」。彼らにとって二十四節気は、厳しい自然環境を健やかに生き抜くための術(すべ)だったのです。
一方、現代の私たちは、エアコンの効いた快適な部屋で、季節に関係なくいつでも夜遅くまで働くことができます。 でも、私たちのカラダの中にある「原始的なリズム」は、昔から何も変わっていません。 実は、この「自然のリズムから遠のいた生活」こそが、休んでも疲れがとれなかったり、なんだかスッキリしなかったりする、日々の不調の原因にもなっているのです。
本来の「自然なリズム」を取り戻すためのやさしい道しるべになってくれるのが、二十四節気という暦を取り入れた生活です。
「養生(ようじょう)」と聞くと、厳しい食事制限や、ストイックなルールを想像するかもしれません。
でも、私が提案したい『楽ちん養生』は、もっと肩の力を抜いたものです。
具体的に何をするかというと、二十四節気が教えてくれる自然のサイン(15日周期)に合わせて、その時の自分のカラダに合う食べ物や過ごし方を取り入れるだけ。
季節が切り替わる15日ごとに、私たちのカラダには「その時期だからこそ必要な食べ物」や「負担をかけない過ごし方」があります。ほんの1分間ご自身のカラダを労わる時間をもったり、季節の食べ物をシンプルに味わったり…。移り変わる自然のサインをヒントにして、15日というゆるやかなペースで、暮らしを少しだけ“チューニング”していくのです。
がんばりすぎず、でも放置しない。
この「15日」というサイクルは、一番自然な形で体調を調えるための、心地よいペースメーカーになってくれます。
では、この15日周期を意識しはじめると、日々のパフォーマンスにどんな良い変化が生まれるのでしょうか。大きく3つのメリットがあります。
暦を知ることは、気候の変化を先回りすることです。 たとえば、ちょうど今の時期は「立夏(りっか)」。暦の上では夏が始まるサインです。「急に暑くなってカラダがだるいな」と後からダメージを受けるのではなく、「これから日差しが強くなる15日間だから、カラダに熱をこもらせない過ごし方をしよう」と、先手必勝で対策が打てるようになります。(※立夏は5月20日まで)
「そろそろ暑さに備えよう」と思ったら、穏やかにカラダを冷やしてくれる食材の力を借りてみる。反対に、むくみやすい季節には、余分な水分を外へ逃がしてくれる食材を。そんなふうに季節のサインに合わせて、その時のカラダに必要なものを取り入れていくと、自然と体調は調っていきます。
とはいえ、季節感が薄れてきた現代では、スーパーの野菜コーナーを見渡しても一年中同じものが並んでいて、少し「旬」が分かりづらくなっていますよね。
だからこそ、「今はこれが旬なんだな」と知っておくことが、日々の体調管理をぐっと楽にしてくれます。その知識が頭の片隅にあるだけで、「忙しくて丁寧な自炊なんて無理!」という方でも、コンビニのお惣菜や外食のランチから、さっと季節の野菜を選べるようになります。
旬の食材は、その時期のカラダに最も必要な栄養を届けてくれるもの。普段の食事にほんの少し季節を添えるだけで、ココロとカラダを守る立派な自己投資になってくれます。
常に情報や時間に追い立てられるように生きている私たちにとって、二十四節気はココロとカラダが動けなくなるのを防いでくれる、おおらかなペースメーカーのようなものです。
たとえば、「立夏を過ぎたから、少しずつ活動のペースを上げていこう」と前向きに動く時期もあれば、反対に、「冬至に向かって日が短くなってきたから、夜は無理せず早めに休んでエネルギーを蓄えよう」と活動をゆるめる時期もあります。
自分の暮らしや働き方を、そんな自然の巡りにそっと重ねていく。
季節という大きなリズムに自分を合わせることで、知らず知らずのうちに限界を超えてがんばりすぎることを防ぎ、しなやかに毎日を過ごすことができます。
季節が移り変わるごとに、私たちのカラダには「だるい」「むくむ」「冷える」といった、その時期特有の小さな不調が現れやすくなります。
私が提案する『楽ちん養生』では、そんな季節のサインに合わせて、1分ほどでココロとカラダを楽にする「楽ちんアクション」をご紹介しています。
たとえば、なんとなく頭や目が疲れているときは、耳を軽く引っ張って、くるくると回してみる。たったこれだけでも血流がサッとよくなり、ふっと頭がすっきりしますよね。
特別な道具や、まとまった時間は何もいりません。
ちょっとしたツボ押しや、座ったままできる簡単なマッサージ、軽いストレッチなど、「あ、疲れたな」と思ったその時にすぐできるケアを知っておくこと。
ほんの1分のすき間時間でも、日々のメンテナンスとして活用すれば、その日の疲れをリセットすることができます。ご自身の手でカラダを労わるひとときが、忙しい日々に心地よい“余白”をつくってくれるはずです。
「じゃあ、今の時期はどんな食材やケアを取り入れたらいいのかな?」
少しでもそう思ってくださった方へ向けて、私のnoteでは、その時々の二十四節気に合わせた具体的な“楽ちん養生”をご紹介しています。
note|ココロとカラダをゆるめる楽ちん養生(https://note.com/narushimahiromi)
など、古くから伝わる自然の知恵を、忙しい現代の私たちが無理なく取り入れられるよう、やさしく紐解いてお届けしています。
⇒ 立夏の過ごし方(https://note.com/narushimahiromi/n/n3e1e049d27cb)
赤い物がオススメの時期。トマトの美味しい食べ方をご紹介しています。
毎日モニターに向かい、めまぐるしいスピードで過ぎていく日々のなか、15日ごとに移ろう自然の言 葉に目を向けるだけで、暮らしには心地のよい“余白”が生まれていきます。
「今はどんな季節かな?」「今日はどんな自分かな?」 季節の移ろいを知ることは、「今のカラダには何を食べさせてあげよう」「どんなココロの持ち方で過 ごそう」と、その時の自分に合わせて暮らしを調えていくためのヒントになります。
自然のリズムを味方につけて、心地よいペースへシフトしていく。 二十四節気をベースにした『楽ちん養生』が、そんなふうにご自身を労わるためのヒントとしてお役に 立てればうれしいです。
仕事の合間のちょっとした息抜きに、ご自身の調子をふっと感じる時間にしていただけたら幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
パナケアヘルス
管理栄養士・食生活アドバイザー・カウンセラー
日本の“食”で健幸を全力応援!
発酵食や野菜を中心とした食事を通して、自然治癒力を高める食べ方や暮らし方を提案しています。
【執筆者HP】パナケアヘルス なるしまひろみ