伝票の保護と入力制限
伝票を登録・修正・削除する際に、以下のチェックを行い、伝票を保護します。
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請求済、精算済の伝票をチェックし、請求漏れ、支払漏れを防ぐ。
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承認された伝票の更新を防ぐ。承認機能の詳細は、「前準備」-「会社基本情報の登録」-「ご参考(承認機能について)」をご覧ください。
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登録・修正・削除の権限がないユーザーの更新を防ぐ。
「セキュリティ」-「領域ユーザーの登録」で権限を設定します。
伝票入力では、この情報を見てチェックを行います。 -
与信限度額を超えた伝票をチェックし、取引を防ぐ。
請求締/精算締実行済伝票の保護
請求締、精算締実行済の伝票は、修正、削除できません。
消込済伝票の保護
消込済(一部消込含む)の伝票は、修正、削除できません。
残高締切済期間の伝票
残高締切日以前の伝票日付の伝票は、修正、削除できません。
承認による保護
伝票を消込対象として反映させるタイミングを設定し、帳票に反映させる機能です。
≪帳票への反映タイミングの設定≫
「前準備」-「会社基本情報の登録」-「承認設定」タブの「伝票反映」で各伝票について、帳票や消込対象として反映させるタイミングを以下から選択します。
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入力時:入力時点で反映伝票として扱います。
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チェックリスト承認時:伝票が登録されても各チェックリスト処理で承認印が押されるまでは、未反映伝票として扱い、承認印が押された時点で登録伝票として扱います。
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※ 「伝票反映」の設定変更はいつでも可能です。
ただし、入力済の伝票に対して反映状況、承認状況を変更することはありませんので、以下のような状態になります。
<「入力時」→「チェックリスト承認時」に変更>
登録済の伝票は既に反映状態ですので、承認印なしで反映済の伝票が存在する状況となります。
<「チェックリスト承認時」→「入力時」に変更>
登録済の未承認伝票は未反映状態のままとなります。反映済にするには承認作業が必要です。
≪汎用データの受入について≫
「随時」-「汎用データの受入」では、「会社基本情報の登録」の「伝票反映」の設定とは別に、「その他の設定」の「受入状態」で、受け入れるデータの反映状況を設定できます。
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会社基本情報に従う:「会社基本情報の登録」の設定に従い、データを受け入れます。
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承認済みデータとして受け入れる:承認済データとして受け入れます。
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未反映データとして受け入れる:未反映データとして受け入れます。
≪消込との関連について≫
帳票へ未反映の状態でも回収伝票、支払伝票で消込を実行することができます。
ただし、この消込が反映済になるのは対象となる回収伝票、支払伝票が承認され反映済になったときとなります。
そのため、未反映の回収伝票、支払伝票で消込がされた回収予定、支払予定に対して別途消込をすることはできません。
≪残高について≫
未反映伝票では残高は更新されず、承認によって伝票が反映済になったときに残高の更新がされます。
≪決済・顛末伝票について≫
「決済・顛末伝票」の登録時の反映状態については、「会社基本情報の登録」の「回収伝票」「支払伝票」の「伝票反映」「承認階層」の設定に従って、反映状態・承認状態を管理します。
「決済・顛末伝票」を作成する際の基となる回収伝票、支払伝票は反映済の伝票のみを対象とします。
≪承認解除できない伝票について≫
以下の場合、承認解除によって伝票の状態が反映→未反映となる場合には承認解除はできません。
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各伝票で既に仕訳が転送されている(事前に転送履歴の削除が必要です)。
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債権伝票、債務伝票で請求締、精算締がされている(事前に請求履歴の削除、精算履歴の削除が必要です)。
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債権伝票、債務伝票で既に消込(一部消込含む)がされている(事前に消込解除、支払削除が必要です)。
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回収伝票、支払伝票で既に該当伝票から決済・顛末伝票が作成されている。
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相殺(一部相殺含む)がされている(事前に相殺解除が必要です)。
≪未反映伝票に関する制限事項≫
未反映の伝票には以下の制限事項があります。
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各チェックリスト処理(「監査」-「伝票番号チェックリスト」を含む)以外の帳票で、条件指示等で「反映状態」の項目がない場合は、出力対象外となります。
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他の伝票を基に伝票を作成する場合に未反映伝票を基に伝票を作成することはできません。
また、基伝票となっている伝票を未反映状態にすることはできません。 -
未反映債権伝票が請求期間に存在する場合は、請求締処理を実行できません。
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未反映債務伝票が精算期間に存在する場合は、精算締処理を実行できません。
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未反映の債権伝票、債務伝票で都度請求、都度精算がされるときには、回収予定、支払予定は作成されません(承認され、反映済になったときに作成されます)。
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未反映の債権伝票、債務伝票に対して消込を行うことはできません。
ただし、未反映の回収伝票と反映済みの債権伝票間の消込は可能です。 -
未反映の伝票は『PCA hyper 会計シリーズ』との仕訳連動の対象外となります。未反映の回収で発生した消込も対象外となります。
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未反映の伝票では残高の更新はされません。
与信限度額チェック
『債権管理オプション』の「債権管理」-「債権伝票」-「債権伝票入力」「債権伝票入力(請求書明細)」「債権伝票チェックリスト」処理が対象となります。
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与信限度額の管理単位について
請求先会社ごとに管理します。 -
与信限度額は、「前準備」-「取引先」-「請求先の登録」-「区分、与信」タブで、3種類まで設定できます。
請求先設定時には通常与信種別1~3で金額を昇順で設定します。-
※ 0は与信管理対象外となります。
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「セキュリティ」-「領域ユーザーの登録」の「与信管理」-「与信限度額超え時の制限」で、与信種別1~3のそれぞれについて、「制限しない」「登録・承認時確認」「登録・承認できない」から設定します。
≪運用例(各与信限度額を超えたときの伝票登録制限)≫
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通常与信限度額 (与信種別1) |
部内承認与信限度額 (与信種別2) |
会社承認与信限度額 (与信種別3) |
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与信限度額(請求先A) |
1,000,000 |
2,000,000 |
5,000,000 |
与信レベル1 |
登録・承認できない |
登録・承認できない |
登録・承認できない |
与信レベル2 |
登録・承認時確認 |
登録・承認できない |
登録・承認できない |
与信レベル3 |
登録・承認時確認 |
登録・承認時確認 |
登録・承認できない |
請求先Aの売上債権残高(後述)を600,000とすると、
ユーザーA(与信レベル1)は、400,000までの債権伝票は登録できますが、400,000を超えると登録できません。
ユーザーB(与信レベル2)は、400,000までの債権伝票は登録できますが、400,001~1,400,000の範囲の場合、登録時に与信限度額に関する確認画面が表示されます。また、1,400,000を超えると登録できません。
ユーザーC(与信レベル3)は、400,000までの債権伝票は登録できますが、400,001~4,400,000の範囲の場合、登録時に与信限度額に関する確認画面が表示されます。
すべてのユーザーで、4,400,000を超える範囲の場合、登録できない。
≪売上債権残高について≫
売掛残とは算出方法が異なりますので、ご注意ください。
売掛残は「繰越残高+債権額総計-回収額総計」で計算されますが、債権残高は「繰越残高+債権額総計-回収額総計+手形・電債で現金化されていないものの総計」で計算されます。
売掛残、債権残高のどちらで与信管理を行うかは「会社基本情報の登録」で設定できます。
≪与信限度額の計算対象となる伝票について≫
未反映伝票を与信管理計算時の残高として計算対象とするかどうかは「会社基本情報の登録」で設定できます。
≪承認時の与信チェックについて≫
「債権伝票チェックリスト」で一括承認された場合の動作は以下のとおりです。
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◇ 与信限度額制限に該当した場合は、常に承認エラーとなります。
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◇ 「与信限度額の確認」画面で[続行]ボタンが有効・無効となる状態に準じて表示される画面が異なります。
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有効の場合:XXXの取引限度額を超えました。個別に承認を行ってください。
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無効の場合:XXXの取引限度額を超えました。承認できません。
“XXX”には与信限度額超えのときの最も厳しい与信限度額の名称が表示されます。
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「会社基本情報の登録」で「未反映伝票を含む」ときは、以下の理由により、債権伝票登録時だけでなく、承認時にも与信限度チェックが入ります。
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伝票登録された状態と承認の間に伝票が別途登録されるので伝票登録時に与信限度額制限に該当しなくてもその後、承認時に与信限度額制限に該当することがあるため。
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承認時に表示される与信限度額の確認画面では今回承認され、反映状態になる金額については、売掛残、債権残の金額としては含まれません。
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≪制限事項≫
請求締の実行により、消費税調整伝票が作成され、このタイミングで与信限度額を超えてしまっても特にチェックなしで登録を行います。
汎用データの受入時、債権残高の登録時、債権予約伝票の登録時、請求締の消費税調整伝票の登録時などではチェックしません。
残高管理科目
≪債権、債務残高科目の初期値について≫
債権、債務残高科目については、伝票内で2種類以上の科目を設定することはできません。
また、1つの債権、債務残高科目であっても異なる補助・部門・取引先・セグメントで登録することもできません。
そのため、債権、債務残高科目については、伝票内で1つでも入力されると、他行でも補助・部門・取引先・セグメントが設定されます。
この入力の手間を省くため、別途、初期値設定の際に以下の内容を優先します。
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債権、債務残高科目が入力された際、「既に設定されている債権、債務残高科目」の補助・部門・取引先・セグメントを自動的に展開します。ただし、2種類目以降の債権、債務残高科目については展開しません。
≪債権、債務残高科目が設定された明細行の補助・部門・取引先・セグメントの一括変更機能≫
前記の「債権、債務残高科目の初期値について」に記載のとおり、債権、債務残高科目については、伝票内で1つでも入力されると必然的に他行でも補助・部門・取引先・セグメントが設定されます。
複数明細に同じ債権、債務残高科目が入力されていて、いずれかの補助・部門・取引先・セグメントが異なる状態で登録しようとしたときは確認画面が表示されます。
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「はい」が選択された場合は、先頭の債権、債務残高項目に合わせて他行を一括で修正します。
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「いいえ」が選択された場合は、何もせず、登録作業自体がキャンセルされます。