新公益法人制度(令和7年4月施行)への対応ついて

新公益法人制度(令和7年4月施行)の改正のポイント

適用対象法人:公益社団・財団法人、公益認定申請をする一般社団・財団法人、移行法人

財務規律の柔軟化・明確化

  • 「収支相償」から「中期的な収支均衡」に変わります。

  • 将来の公益目的事業のため「公益充実資金」を創設します。

  • 不測の辞退に備える「予備財産」をもつことができます。

行政手続きの簡素化・合理化

  • 事業変更の多くが「変更認定」(事前)から「変更届出」(事後)に変わります。

  • 審査における確認事項や、申請書に記載すべき内容、必要な提出書類が明確になります。

自律的ガバナンスの充実、透明性の向上

  • 外部理事・外部監事の導入、ガバナンスの取組の事業報告記載など、公益法人が自ら適切なガバナンスを確保するための仕組みが強化されます。

  • 行政庁による定期提出書類の好評、開示情報の拡充、区分経理の実施などにより、公益法人の情報開示が強化され、透明性が向上します。

『PCA 公益法人会計シリーズ』での対応について

1. 勘定科目、勘定科目属性の変更

2. 事業区分の追加

活動計算書の「事業収益と事業費」で「事業番号別集計」を行うための設定をします。

  • 「事業番号別集計」は以下の帳票になります。

    • 決算書の活動計算書、予算対比活動計算書、前年対比収支予算書

    • 内訳表の活動計算書内訳表、収書予算書内訳表

    • 内部取引内訳表の活動計算書内部取引内訳表、収書予算書内部取引内訳表

    • 収支予算書(列として集計されます)

    • 財務諸表に対する注記の財源区分別内訳

    • 財務諸表に対する注記の会計区分及び事業区分別内訳(列として集計されます)

    • 財務諸表に対する注記の事業費・管理費の形態別区分(列として集計されます)

      ※合計残高試算表の活動計算書では科目体系に沿った中科目、小科目が出力されます。

  • 「事業番号別集計」を行う科目は以下の勘定科目属性になります。

    • 経常活動(事業収益(一般))

    • 経常活動(事業収益(指定))  

    • 経常活動(事業費(一般))  

    • 経常活動(事業費(指定)) 

3. 貸借対照表、損益計算書の様式の変更

①貸借対照表

  • 基本財産、特定資産の記載がなくなり、有形固定資産、無形固定資産といった企業会計と同じ分け方になります。

  • 指定純資産と一般純資産の うち書きが新設されました。

②損益計算書

「正味財産増減計算書」から「活動計算書」に名称が変わります。

  • 一般純資産と指定純資産に区分せず合算で計上します。

  • 費用の表示は形態別分類から目的別分類に変更されます。

4. 注記、附属明細書の増加

  • 財務諸表に対する注記は17項目から41項目に増加

  • 附属明細書は2項目から9項目に増加

『PCA 公益法人会計シリーズ』では、すべての注記、附属明細書が作成可能です。

※印刷機能については、Excel出力のみご利用いただけます。Excel出力以外については、2026年X月対応予定です。

5. 帳票全般、提出書類全般について、新会計基準の様式に対応

詳細はマニュアルをご覧ください。

6. 文言の変更

  • 「正味財産増減計算書」から「活動計算書」に変更されたことにより各処理のメイン画面、条件指示画面などの文言が変更されます。

    • 「正味」→「活動」

    • 「予算(正味)」→「予算(活動)」

    • 「収支予算(正味)」→「収支予算(活動)」

    • 「正味科目」→「活動科目」

    • 「正味財産」→「純資産」

    • 「正味財産科目」→「純資産科目」

    • 「正味財産設定」→「純資産設定」

    • 「正味財産科目設定」→「純資産科目設定」

  • マニュアル内に「正味」の表記がある場合、令和7年施行基準では上記のようにお読み替えをお願いいたします。

7. 以下の処理が追加されました。

  • 「ファイル」-「令和7年施行基準へのコンバート」(平成20年施行基準の場合のみ)

  • 「前準備」-「事業区分の登録」

  • 「決算処理」-「決算関連書類の初期設定」「収支予算書」

令和7年施行基準領域への移行手順

※以下の手順で、「平成20年施行基準」のデータ領域からのみ移行できます。

1. コンバート

(1)  メニューの「ファイル」-「令和7年度施行基準へのコンバート」を選択すると、以下のような画面が表示されます。

(2)  [実行]ボタンをクリックすると、「科目設定」画面が表示されます。

(3)  コードと変更後の科目属性を設定できます。

  • コードを変更した場合、[並び替え]ボタンでコード順に並べ替えができます。

(4)  [設定]ボタンでコンバートを実行します。

(5)  実行結果が表示されましたら、コンバート終了です。[閉じる]ボタンをクリックします。

 

2. 「事業区分」を登録

事業番号と事業系マスターの紐づけを行います。

活動計算書の「事業収益と事業費」で「事業番号別集計」を行うための設定です。

(1)  メニューの「前準備」-「事業区分の登録」を選択すると、以下のような画面が表示されます。

  • 平成20年施行領域から「令和7年施行領域にコンバート」処理でコンバート時は「定期提出処理のExcelテンプレート出力」で設定された内容が初期値となります 。

(2)   各項目を設定し、[登録]ボタンをクリックします。

 

3. 活動計算書と注記(財源区分別内訳)

(1)  メニューの「前準備」-「科目の登録」-「科目関連情報の一括登録」をクリックします。

(2)  「活動計算書」タブで活動計算書と注記(財源区分別内訳)に対応するための設定を行います。
活動計算書を正しく作成するには 」もご参照ください。

(3)  [登録]ボタンをクリックします。

4. 決算帳票を出力するために必要な設定

「決算処理」-「決算関連書類の初期設定」(新規処理)で設定します。

(1)  メニューの「決算処理」-「決算関連書類の初期設定」をクリックすると、以下のような画面が表示されます。

(2)  各項目を設定し、[登録]ボタンをクリックします。

5. その他再設定

試算表、決算書、キャッシュ・フローのレイアウトなど再設定が必要です。

各処理で確認、再設定をお願いします。

操作については、各処理の説明をご覧ください。