月次決算整理仕訳について
毎月発生する取引のほかに、決算整理に類する取引を見積計上して、より正確な毎月の損益を算出しようというのが“月次決算整理仕訳”の考え方です。
整理仕訳を入力する際は、月度ごとに月初、決算整理1次、決算整理2次、決算整理3次の4段階まで分けることができます。
以下のように分けて使うとチェックする際に便利です。
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月初仕訳:前月の決算整理仕訳の再振替
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決算整理1次:医業未収金、買掛金、前払金、未払金等の締め
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決算整理2次:棚卸資産や減価償却費の計上や各種引当金
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決算整理3次:前払費用や前受収益の調整
「前準備」-
【「決算整理仕訳入力(コクヨ式)」の場合】

基本的には月度末日で決算整理が行われ、データは“月初仕訳<月度末日<決算1次<決算2次<決算3次”の順に時系列になります(ただし、期中で会計期間が変更になった場合を考慮し、月度末日以外での入力も可能です)。
例)会計期間が4/1~3/20で4/20に決算整理が行われた場合
4/1の月初仕訳<4/1~4/20までの月次データ<4/20の決算仕訳<4/21~5/20の月次データ
期末更新後の過年度実績データは月度単位で作成され、月度ごとに、月初、月次、決算1次、決算2次、決算3次にまとめて集計されます。
例)会計期間4/1~3/31
更新元の仕訳データ |
更新先の過年度実績データ |
|
---|---|---|
4/1の月初仕訳 |
→ |
4月度の月初に集計 |
4/1~4/30の月次仕訳 |
→ |
4月度の月次に集計 |
4/30の決算1次仕訳 |
→ |
4月度の決算1次に集計 |
4/30の決算2次仕訳 |
→ |
4月度の決算2次に集計 |
4/30の決算3次仕訳 |
→ |
4月度の決算3次に集計 |
4/20の決算1次仕訳 |
→ |
4月度の決算1次に集計 |
過年度実績では日付での区別がなくなります。
したがって、決算整理仕訳を月末日以外で入力されている(例の1番下の場合)と、過年度実績との比較を行う場合に矛盾が生じる場合があります。
以下は、月次決算仕訳の主な例です。
※勘定科目のコードや名称は、「前準備」-「法人基本情報の登録」-「管理情報」タブの「既定の会計基準」の設定により変わります。必要に応じてお読み替えください。
減価償却費
“減価償却費”は“直接法”“間接法”のどちらも採用できます。
借方 |
貸方 |
|
---|---|---|
751 減価償却費 |
211 建物など |
←直接法 |
751 減価償却費 |
229 減価償却累計額 |
←間接法 |
資産科目ごとに減価償却累計額を登録し、科目ごとに仕訳を入力することで、合計残高試算表や決算書の出力時に3通りの出力方法を選択することができます。
科目ごとに減価償却累計額を計上する間接法をお勧めします。
借方 |
貸方 |
---|---|
減価償却費 |
建物減価償却累計額 医療用器械備品減価償却累計額 |
【出力例1】
「評価勘定の出力方法の設定」で「科目ごとに控除して記載」を選択した場合
建物 |
100 |
建物減価償却累計額 |
△60 |
医療用器械備品 |
80 |
医療用器械備品減価償却累計額 |
△30 |
【出力例2】
「評価勘定の出力方法の設定」で「一括して記載」を選択した場合
建物 |
100 |
医療用器械備品 |
80 |
減価償却累計額 |
△90 |
【出力例3】
「評価勘定の出力方法の設定」で「控除した残額のみ記載」を選択した場合
建物 |
40 |
医療用器械備品 |
50 |
-
※ 無形固定資産についても同様です。
(注)決算書では、「控除した残額のみ記載」を選択してください。
-
※ 勘定科目の登録・追加方法については、「前準備」-「勘定科目の登録」の「勘定科目の登録」をご覧ください。
賞与の見積
(1) 年間に支払う“賞与”を見積もり、その12分の1を計上します。
借方 |
貸方 |
---|---|
712 賞与 |
336 賞与引当金 |
-
※ 相手科目は“賞与引当金”が便利です。
(2) “賞与”の支払時にそれまでの積立金を取り崩します。
借方 |
貸方 |
---|---|
336 賞与引当金 |
712 賞与 |
712 賞与 |
121 当座預金 |
-
※ 取崩額と実際の支払額を相殺します。
その他“月次決算”が必要な取引を追加して、より正確な月次損益を把握されますようお願いします。 |
ご参考(月次推移表での月次棚卸高の集計)
「分析処理」-
ここでは、棚卸高をどのように読み替えるかを説明しています。
≪前提条件(月次棚卸高の計上方法)≫
月初の再振替仕訳は、当月末の決算整理仕訳と同時に「期末棚卸高」科目を使用していることが前提条件となります。
≪準備作業例≫
棚卸高の読替対象となる勘定科目属性と、設定すべき関連科目は以下のとおりです。必要に応じて「前準備」-
-
※ 貸借区分は初期設定のままとします。
読替対象となる勘定科目属性 |
設定すべき関連科目 |
---|---|
期首商品棚卸高(商品売上原価) |
期末商品棚卸高(商品売上原価) |
(製)期首原材料棚卸高(製造原価(材料費)) |
(製)期末原材料棚卸高(製造原価(材料費)) |
(製)期首仕掛品棚卸高(製造原価(棚卸資産)) |
(製)期末仕掛品棚卸高(製造原価(棚卸資産)) |
また、以下の勘定科目を必要に応じて追加登録しておきます。
・勘定科目「他勘定振替高」:科目属性が「他勘定振替高(商品売上原価)」
・勘定科目「商品評価損」:科目属性が「商品評価損(商品売上原価)」
≪入力仕訳例≫
以下の仕訳が登録されているとします。
(1) 4月末までの仕訳 4月の期首商品棚卸高は1,000円、4月末商品棚卸高は1,400円
借方 |
貸方 |
|||
---|---|---|---|---|
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
|
4月30日(決算1)、または4月1日(月初) |
期首商品棚卸高 |
1,000 |
商品 |
1,000 |
4月30日(決算2) |
商品 |
1,400 |
期末商品棚卸高 |
1,400 |
(2) 5月末の仕訳 5月末商品棚卸高は1,500円
借方 |
貸方 |
|||
---|---|---|---|---|
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
|
5月31日(決算1) |
期末商品棚卸高 |
1,400 |
商品 |
1,400 |
5月31日(決算2) |
商品 |
1,500 |
期末商品棚卸高 |
1,500 |
(3) 6月末の仕訳 6月末商品棚卸高は1,200円。商品評価損が20円発生(収益性低下による簿価切り下げ額は売上原価として処理)。
借方 |
貸方 |
|||
---|---|---|---|---|
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
|
6月30日(決算1) |
期末商品棚卸高 |
1,500 |
商品 |
1,500 |
6月30日(決算2) |
商品
商品評価損 |
1,200
20 |
期末商品棚卸高 他勘定振替高 商品 |
1,180 20 20 |
(4) 4、5、6の各月の仕入高は10,000円
≪「月次推移表」での集計≫
条件指示項目で指定する内容により、出力される内容が異なります。ここでは、2パターン説明しています。
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◆ 出力パターン1 条件指示画面で以下のように指定します。
-
推移間隔:月度
-
集計金額:発生
-
その他の設定-月次棚卸高を読み替える:チェックあり
-税込で出力する:チェックあり
以下のように出力されます。
-
※ 4月度と5月度を集約すると以下のように出力されます。
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◆ 出力パターン2 条件指示画面で以下のように指定します。
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推移間隔:月度
-
集計金額:累計
-
その他の設定-月次棚卸高を読み替える:集計金額が“累計”のため指定できません。
-税込で出力する:チェックあり
以下のように出力されます。
-
※ 4月度と5月度を集約すると以下のように出力されます。
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その他“月次決算”が必要な取引を追加して、より正確な月次損益を把握されますようお願いします。