導入事例
山本美材株式会社 様

請求書電子化がうまくいく企業には、理由がある。工夫を凝らした移行で、取引先も納得した成功事例
取引先が多い企業にとって、毎月の請求書発行業務はかなりの時間と手間がかかる。「電子化を進めたいが、具体的なやり方がわからない」と電子化をためらう企業も少なくない。そのような企業のモデルケースになるのが、老舗の美容室商材卸・山本美材株式会社だ。同社は『PCA Hub 取引明細』を導入し、営業部門と連携しながら段階的に電子化を推進。取引先との信頼も維持できる方法で電子化を定着させていった。その具体的なプロセスから学ぶ点は多い。
導入の狙いと効果
- 導入の狙い
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- 紙の請求書発行に伴う業務負担や残業を減らし、人的リソースを有効活用したい。
- 郵送費・印刷コストなどの経費増加とコスト負担を抑えたい。
- 多様なITリテラシーを持つ取引先にも丁寧に対応し、取引先の信頼を損なわずに電子化を推進したい。
- 導入の効果
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- 請求書のオンライン発行により、所用時間は事務・営業ともに短縮。請求書発行に伴う残業時間も削減された。
- 郵送費や封筒、紙・印刷コストなど、年間にすると100万円以上(※試算値)のコストを削減可能に。
- GoogleフォームやHP上の案内ボタンの設置、案内文の改善など丁寧な移行支援を実施。全体の約8割が電子請求へ移行し、取引先との信頼関係を維持した。
導入システム
- PCA 商魂
- PCA 商管
- PCA Hub 取引明細
- PCA Hub eDOC
導入企業とプロフィール
山本美材株式会社
| 住所 | 〒558-0011 大阪市住吉区苅田7-3-11 |
|---|---|
| 設立 | 昭和38年6月 |
| 資本金 | 8,200万円 |
| 業種 | 卸売業、小売業 |
| URL | https://www.yamamoto-bizai.co.jp/ |
| 業務内容 |
化粧品卸売業 |
導入前の運用と課題
電子化の波にどう乗るか──歴史ある専門商社の選択
「電子化を進めたいけれど、やり方がわからない」「取引先にどう説明すればよいのか不安だ」。そんな理由から、紙の請求書の運用から抜け出せない企業は少なくない。そのような課題を丁寧な準備と顧客フォローで解決したのが、山本美材株式会社だ。
山本美材は美容室向けの商材を全国に卸している。美容業界の発展を支えるため、美容専門二次問屋を通じて全国の美容室に向けて幅広い商材とサービスを卸してきた実績を持つ。業界特有の商流や現場ニーズを理解し、各取引先にきめ細やかに対応している点も大きな特長だ。
同社では、毎月、約600件以上の請求書を発行している。以前はすべて紙で印刷し、営業担当が1件ずつ封入・発送まで対応していたという。
「請求業務は月2回、主に20日と月末に行っていました。なかでも20日締めの処理は件数も多く、印刷・封入・仕分けにかなりの時間を取っていました。営業も夜遅くまで残って、封入作業をしていましたね」(業務部長 田中康太氏)
1件あたりの請求書が1枚で収まるとは限らず、延べにすると2,000枚近く出力しなければならないケースもあった。印刷後は事務スタッフで仕分けを行い、営業に渡してから封入・チェックを行うという分業で対応していた。
「事務側で2時間、営業側でも2時間。毎回そのくらいの時間をかけていました。紙でのやり取りが当たり前だった時代は、それが普通だと思っていましたが、今振り返るとかなりの負担でしたね」(田中氏)
さらに、郵送費の高騰も無視できない課題となっていた。封筒の厚さによって料金が変動するうえ、2024年の郵便料金改定によって、その1通あたりのコストが実質的に倍増に近いことが明らかになった。
「ちょうどその頃、取引先からも『御社は電子化しないんですか?』という声をいただくようになっていました。他社がすでに電子請求を始めていたこともあり、このままでは取り残されると感じました」(田中氏)
電子化への関心は以前からあったものの、実際には「取引先に理解してもらえるのか不安」といった懸念があり、導入には踏み切れていなかったという。
そのような中で、同社が電子化に向けて採用した方法は、顧客層に合わせた、段階的かつ柔軟な電子化の進め方だった。
選定のポイント
『PCA商魂・商管』との親和性を活かし、請求書電子化をスムーズに実現
山本美材では、以前から『PCA 商魂』『PCA 商管』を利用していた経緯があり、今回の電子請求システムの選定においては、『PCA Hub 取引明細』を前提とした検討が進められた。
『PCA Hub 取引明細』は、『PCA商魂』『PCA商管』『PCA hyper 会計』などのPCA製品と連携し、帳票を自動的に電子化・送信できるクラウドサービスだ。
請求書の印刷・封入・発送といった業務を削減できるだけでなく、帳票の履歴管理や再送信もオンラインで完結する。受信側つまり取引先は無償で利用できるため、電子化へのハードルが低く、取引先が多い企業ほどその効果を発揮しやすい。
「じつは『PCA 商魂・商管』を導入した際に、当初から請求書の電子化サービスを想定していました。タイミングを見て自然な流れで導入することができました」(田中氏)
導入のメリット
紙から電子へ──請求書のオンライン化で残業もコストも大きく削減
『PCA Hub 取引明細』の導入で、請求書発行にかかる業務負担は大きく軽減された。これまでの請求書を紙で出力し、印刷・封入・仕分け・発送という一連の作業においては、現在は帳票が自動で電子化され、取引先ごとにオンラインで送信される仕組みへと切り替わった。
「今は、事務・営業ともに請求書発行に関する所要時間は1時間以内で済み、残業もほとんどなくなりました」(田中氏)
控えを印刷して作成する必要もなくなり、PDFでの管理に切り替わったことで、紙の物理的な保管が不要になった。請求書の再発行もデータ上で完結するため、対応スピードも向上している。
コスト削減については、次のような計算ができる。月に約600件の請求書の場合、2024年の郵便料金改定後の郵送費で計算すると、最大で1件あたり140円。つまり最大で月8万4000円程度の郵送費が必要だったと想定される。加えて、封筒・紙・印刷コストを仮に1件あたり25円とすると月15,000円。これらの郵送費・封筒・紙・印刷などを合わせると、年間で約1,188,000円のコスト(※試算値)が必要だったと試算できる。この高額な費用を、電子化によって削減できたと考えることが可能だ。
顧客の電子化移行率8割を達成!取引先に寄り添った丁寧な移行支援
電子化を進めるうえで課題となったのが、IT環境やIT知識にばらつきのある取引先への対応だった。個人で経営している取引先などでは、「メールアドレスがない」といった声もあり、丁寧なフォローが必要だった。
まず同社では、Googleフォームを使ってメールアドレスや担当者名を収集し、Gmailの取得方法も案内。自社ホームページ上に「PCA Hub 取引明細 Webマニュアル 案内ボタン」も新設し、誰でも迷わずアクセスできる環境を整えた。
「お客様への案内文として『Web請求書確認サービスのご案内』を作成し、営業からお客様へ送付しました。最初はシンプルな内容でしたが、お問い合わせの内容に応じて、案内文の内容も少しずつ改善を重ねていきました。最終的には、ステップ順でご理解してもらえるよう、文面も工夫しました」(田中氏)
結果として、全取引先の約8割が電子請求に移行しており、田中氏の工夫が見事に着実な成果につながっている。同社の場合、取引先の100%の移行にはこだわらず、FAX送付や手渡しを希望する顧客には従来通りの対応を続けるなど、無理のない移行を実現している。
なお、導入初期にはいくつかのとまどいも見られた。代表的な声としては、Web請求書を受け取る側の2段階認証の煩雑さがある。特にパソコンに不慣れな取引先の場合は、初回ログインの操作が大きなハードルとなった。
「パスワードを忘れてしまったという問い合わせもありましたが、こちらから再発行できない仕様のため、営業が訪問時に設定をサポートして対応しました」(田中氏)

社内外の巻き込みで実現した成功モデル──社内連携と現場主導
同社が請求書の電子化に成功した背景には、顧客への丁寧なフォローに加えて、社内の協力体制も大きく影響している。社内では営業部門向けに『PCA Hub 取引明細』導入についての勉強会を実施し、取引先にどのような案内が必要なのか、どのように対応すべきかを全体で共有した。営業会議の一部を活用して1時間程度の説明を行うなど、全社的な理解と協力体制が整えられた。
「何をどう案内すればお客様に届くのか、営業にも具体的に理解してもらったうえで対応してもらいました。このような事前準備が、現場での混乱を防いだと思います」(田中氏)
社内でプロジェクトを主導した田中氏の積極的な取り組みも成功の大きな要因といえる。トップダウンではなく、現場主導で段階的に進めたことが、取引先との信頼を損なうことなく、スムーズな電子化移行につながった。
今後の課題と展望
『PCA Hub 取引明細』の導入により、請求書業務の大幅な効率化とコスト削減を実現した山本美材株式会社。今後は、受発注管理や納期連絡など情報伝達の効率化・確実化などに関する領域も強化したいと語る。
「発注書の送信や納期の確認など、まだFAXや電話に頼っている部分が残っています。請求書で電子化が受け入れられた今、受発注に関しても電子化の土台ができつつあると感じています。なお、今回の電子化によって、テレワーク環境でも帳票の発行や確認ができるという安心感も加わりました」(田中氏)
今回の電子化プロジェクトを通じて、山本美材株式会社は取引先ごとに配慮した事前案内を徹底することで、移行時の混乱や取引先の不安を最小限に抑えることに成功。営業や事務とも連携し、段階的かつ丁寧にプロセスを進めた結果、取引先との信頼関係を維持したまま、スムーズな電子化の定着を実現している。
https://www.yamamoto-bizai.co.jp/index.html
本導入事例の導入製品・サービス以外にも
さまざまな製品・サービスを提供しています。
ピー・シー・エーからのコメント
この度は、『PCA Hub 取引明細』をご採用いただきありがとうございます。
ご導入に向けたお打ち合わせの中で、お取引先様の協力をいかにして得るかがポイントでしたが、
ご担当者様によるWebフォームの作成や、営業様向けの勉強会によって、スムーズな電子化移行が実現しました。
今回の取り組みは、他のお客様へのご提案時に、勝手ながら『電子化成功モデル』としてよくお話しさせて頂いております。
お客様では、他にも『PCA Hub eDOC』をご導入いただいており、受領した請求書の電子保管も実現しています。
これからも業務効率化のご支援をさせて頂きますので、今後ともよろしくお願いいたします。
『PCA商魂』『PCA商管』『PCA Hub 取引明細』をご利用いただき、誠にありがとうございます。
このたび『PCA Hub 取引明細』をご導入いただくにあたり、お取引先様に対してIT技術を駆使しながら、柔軟かつ丁寧にご対応いただいたことが、電子化の実現につながったと存じております。
その過程ではさまざまなご苦労があったかと拝察いたしますが、弊社の製品が貴社のデジタル化や業務効率化、さらにはコスト削減にお役立ていただけていることを、大変光栄に思っております。
これからも、より一層お客様の業務効率化に貢献できるよう、製品の開発・改善に努めてまいります。
末永くご愛顧賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。