導入事例

北極星産業株式会社 様

北極星産業株式会社 様

100年企業が飲食業DXを実現。コロナに打ち勝ち、次の100年をめざすための取り組みとは。

2020年初頭から約3年半続いたコロナ禍。この間、飲食店は度重なる営業時間短縮や人数制限の要請に対応してきた。関西圏で「オムライスの店」として高い人気を誇る「北極星」も、コロナ禍の影響を大きく受け売上は7割も減少してしまった。「当時、強烈な危機感がありました」と語る本部長の福井氏が音頭を取りスタートした同社の飲食業DX。様々な取り組みが実施され、その一つが『PCAクラウド 会計』『PCAクラウド 給与』を用いた経営指標の算出スピードの高速化だ。再び、行列のできるオムライスのお店を取り戻した同社の取り組みを追った。動画のナレーションはシンガーソングライターとしてご活躍中のやなぎなぎさんにお願いしております。

導入の狙いと効果

導入の狙い
  • コロナ禍により売上が70%ダウン。乗り越えるための最初の一歩として経営指標算出をスピードアップさせたい。
  • 新事業として冷凍オムライス等のECサイトにおける販売を決定。ECサイト販売の製造管理・出荷在庫管理を行えるようにしたい。
  • 打刻やシフト作成など、店舗ならびに本部に負担のかかっていた勤怠管理を効率化させたい。
導入の効果
  • 『PCAクラウド 会計』とASPITを連携させ経営指標算出の高速化に成功。F/L比率分析は2カ月からわずか2日に大幅短縮。
  • 『PCAクラウド 会計』とkintoneの連携で、ECサイトの販売管理をスムーズに実行。
  • 『PCAクラウド 給与』とASPITの連携で、シフト作成・打刻の効率化のみならず、人件費実績などの数字もほぼ自動的に算出できるようになった。

導入システム

  • PCAクラウド 会計
  • PCAクラウド 給与

導入企業とプロフィール

北極星産業株式会社 様

北極星産業株式会社

本社 〒542-0076 大阪市中央区難波3丁目5番17号
創業 大正11年4月
資本金 4千万円
従業員数 140名
主業種 飲食業、貸ビル業
URL https://www.hokkyokusei.online/
業務内容 店舗「オムライスの北極星」の運営
北極星のこだわり 包むという行為自体が”やさしさ”の表現。
少し気まずい雰囲気の時でも
オムライスが食卓にのぼると心が和む。
そんな一品になればと思います。
北極星では、いかに皆様へ
”やさしさ”を提供できるかを考えています。

導入前の運用と課題

老舗の洋食店もダメージを受けたコロナ禍。売上は70%減に

関西に暮らす人で知らない人はいない老舗の洋食店「北極星」。オムライスのお店として長く親しまれており、北極星のオムライスを食べるために連日多くの常連客や観光客が行列に並んでいる。心斎橋本店以外に梅田、難波、四条河原町などの主要エリアや、甲子園球場の真向かい、新大阪駅のエキナカ、ショッピングモールの中などいずれも人気の場所に多くの店舗を出店している。

順調に業績を伸ばしていた同社だが、2020年初頭から始まったコロナ禍に、他の飲食業と同様に巻き込まれることになった。

「街から人が消え、観光客の足も遠のき、コロナ禍の前と比べて売上が70%もダウンしてしまったんです。しかし、このような状況下でも来店してくださるお客様には、精一杯の接客をしようと店舗に呼びかけていました。しかし休業要請によって営業できない店舗もあり、その影響は大きかったです。オンライン飲み会に対応するための顧客管理システムの導入や、オンライン決済でポイント付与クーポンの発行など、様々な対策を試みましたが、これが、なかなかうまくいきませんでした」(業務本部長 福井道祐氏)

当初の取り組みが成功しなかった要因として、IT化の立ち遅れが原因の一つだと福井氏は考えた。

「コロナ禍によって、立ち止まって考える時間はたっぷり取れたわけです。自分たち管理部門の社員が現状維持でヨシと思っていないだろうか? 本当に結果を出せるDX化が必要なのではないか? 行動を起こすには今が絶好のチャンスなのではないか? そう考え、DX化プロジェクトを発足させました」(福井氏)

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「北極星」という社名は、政治家・永井柳太郎氏(衆議院議員、元文部大臣永井未道雄氏の父)により、昭和11年(1936年)に命名されました。彼の「生活の道しるべせよ北極の天に輝く。明星の如く」という言葉から取っています。
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北極星産業株式会社
業務本部長
福井 道祐 氏
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取材の様子

選定のポイント

DX化の出発点は経営指標算出のスピードアップから

同社のDX化プロジェクトの実現は、まず2021年11月に中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)に支援を依頼したところから始まる。その中で、福井氏は「経営指標の算出のスピードアップ」を強く考えるようになった。

以前の経営指標については、まず『PCA会計』で月次決算処理を行い、その後に月毎に集計した部門別損益一覧表にて店舗ごとの原価率・F/L(フード・レイバー)比率を計算し、福井氏が数字を手書きで記載。その数字をExcel®に入力し、店舗へ配布していた。そのため2カ月のリードタイムが必要になり、工数も負担も大きかった。

「正確な経営指標を出すのに、このように時間がかかっている状況では、次の一手を出すのが遅れてしまいます。当社の考える飲食業DXは、売上回復だけが目的ではありません。人材難の時代に長く働いてくれる人を確保するための働き方改革や、もっと多くの方に当社のオムライスを知っていただくための新事業など、様々な取り組みも含めています。これらの取り組みが成功する基盤として、経営指標の算出のスピードアップと精度の向上が必要でした」(福井氏)

そこで以前から使用していた『PCAクラウド 会計』と、飲食店向け業務支援システムASPIT(株式会社アスピット)の連携が可能であることを知り、この2つのシステムを組み合わせて、経営指標算出の高速化とその後に続くDX化を進めていくことに決めた。

導入のメリット

2カ月必要だったF/L比率分析が現在は2日で確認

現在、同社では次のような運用を行っている。POSレジ等からの注文・販売データをASPITに自動連携(日次)。ASPITには飲食業に重要な売上/メニュー管理、経費管理などの販売管理機能と、シフト作成や勤怠打刻などの勤怠管理機能が揃っている。

販売管理の場合は次のような連携の流れになる。まずASPITの売上/メニュー管理から、「店舗別日時損益」などの重要指標が日次で自動的に算出される。ASPITで処理された店舗別仕入情報(仕入/買掛金)や店舗別売上情報(売掛金/売上、現金/売上)を『PCAクラウド 会計』とCSV連携。これにより日次(速報)店舗別仕入・売上情報はASPITで、月次(確定)は『PCAクラウド 会計』で確認することができる。

勤怠管理の場合も、ASPIT内で処理した勤怠打刻データやシフトデータから「人時生産性」の数字がすぐにわかり、導入前は2カ月の時間が必要だったF/L(フード:原価、材料費/レイバー:人件費)比率分析については、翌々日には確認できるようになった。従業員(社員/パートタイム従業員)別勤怠情報も『PCAクラウド 給与』とCSV連携され、月毎の正確な数字をほぼ自動的に算出できるようになった。

重要な各経営指標の算出スピードの向上をまとめると、以下のようになる。

①F/L比率分析
(フード:原価、材料費/レイバー:人件費)

 [導入前] 2カ月 ⇒ [導入後] 2日

②人時生産性
 [導入前] 2カ月 ⇒ [導入後] 1~2日

③店舗別損益
 [導入前] 2カ月 ⇒ [導入後] 1日

スピードアップだけでなく、精度の向上にも成功している。

①生産性分析
 [導入前] 人事売上高 (売上高÷総労働時間)
 [導入後] 人事生産性 (粗利益÷総労働時間)
 業績把握の精度が向上

②店舗別日次損益
 [導入後] 法定福利費・求人開拓費・支払手数料・減価償却費等を反映させることで、粒度の細かい正確な数字を確認

製造管理、勤怠管理の効率化も実現

客足の絶えない人気店は、同社に限らずリアル偏重になる傾向がある。福井氏はこの点を最初に顧みて、その後の飲食業DXを進めてきた。新しい取り組みとして冷凍オムライスなどの新商品を開発し、これらを自社のオンラインショップで販売している。ECサイトの売上管理・販売管理ではkintone(サイボウズ株式会社)を利用し、調理センターの「商品製造管理」とECの「製造&出荷・在庫管理」から売上金額をCSVで出力。そのデータを『PCAクラウド 会計』で取り込み、店舗やECサイトの売上数値を把握している。

「自社の運用に合わせたアプリをノーコードで作成できるので、当社もASPITにはない申請フォーマットを作成し利用しています」(総務部 課長 坂禰貴史氏)

勤怠管理についても大きな変化があった。これまで同社は各店舗の従業員の勤務シフトを、メールのやり取りとExcel®処理によって本部側が調整していた。店舗側が料理の提供や接客サービスに注力できるよう配慮した結果だが、本部内での調整時間が必要だった。現在はASPITでシフト作成ができるため、この作業も大きく軽減できている。

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北極星産業株式会社
総務部 副主任
藤本 奈保子 氏
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北極星産業株式会社
総務部 課長
坂禰 貴史 氏
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オムライス発祥の店『北極星』は、
2022年4月
創業100周年を迎えました。

【オムライス誕生秘話】
1922(大正11)年大阪汐見橋(現大阪市浪速区)で、現『北極星』の先代、北橋茂男が洋食屋『パンヤの食堂』をはじめました。日本の代表的な洋食でおなじみの”オムライス”は、この『パンヤの食堂』で生まれました。
当時、雨具屋の小高さんというご常連の胃の具合が悪いお客様が、いつもオムレツと白ごはんを食べておられました。1925(大正14)年のある日、当時20歳半ばだった茂男は「くる日もくる日も同じものではかわいそうだ」と、ケチャップライスを薄焼き卵で包んだ特製料理を小高さんにお出ししました。
「美味しい!なんやこれ?」と大変気に入られ、「オムレツとライスを合わせてオムライスや!」と、とっさに答えたのが”オムライス”の誕生の由来だったのです。

経営指標算出のスピードアップがもたらしたもの

今回、経営指標算出の高速化がもたらした効果を「意識改革に影響する大きなもの」と福井氏は語る。それは本部における管理のしやすさだけではない。現場の店長たちは、正確なデータがすぐにわかることで、自分の店舗の昨日の努力が報われることにもなる。

「以前は売上の限定された部分の数字を2カ月後に把握していました。しかしこれでは途中経過が見えませんし、せっかく頑張ってもその結果を知るのに時間がかかってしまいます。今、各店舗が行っている努力に対して、透明性を持って評価することが大事です。店舗・社員それぞれの努力を客観的に評価できることで、説得力も納得感もあり、結果、お客様へのサービスのさらなる向上へ繋がっていきます」

同社の飲食業DXのスタート地点の課題であった①経営指標算出のスピードアップ、②ECサイト等の製造管理、③勤怠管理の効率化については、すべて実現できている。

「店舗数も多い当社のような規模の飲食業で、通常の営業を行いながら、ここまでのDX化が実現できていることがすごいと思います」(福井氏)

構築システム概要

今後の課題と展望

お客様も働く人も、どちらも大切にするための飲食業DX

現在、北極星はコロナ禍前の客数をほぼ取り戻している。そして未来を見据えた飲食業DXもまだまだ続けていく。同社は2022年に創業100周年を迎えた。味もサービスも多くのお客様から愛されている証しだが、同社は働く人を大切にすることも考え続けてきた。職場環境をもっとよいものにするために、今後はWell-being(ウェルビーイング)に焦点を置き、働く人が幸福を実感できるための取り組みを実行に移していく予定だ。

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北極星産業株式会社 HP
https://www.hokkyokusei.online/

ピー・シー・エーから一言

  • 営業部からのコメント

    『PCAクラウド』をご利用いただき、誠にありがとうございます。弊社製品を中心に揃えていただき大変嬉しく思います。
    会計・給与データ連携による業務効率化、クラウド活用による働きやすさの向上と弊社としても理想的な事例になったと存じます。
    引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

  • 開発チームからのコメント

    『PCAクラウド 会計』をご利用いただきましてありがとうございます。
    CSV形式での他システムとの連携で作業の高速化・効率化に活用していただけたこと大変うれしく思います。
    今後も他システムとの連携面においても使い勝手を意識した製品づくりを心掛けていきたいと思っております。
    引き続きPCA製品をご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

様々な導入事例をまとめたガイドブックをはじめ
各製品の資料も是非ご覧ください。