導入事例

株式会社 ありあけ 様

株式会社 ありあけ 様

数字をより詳細に見える化。
PCAクラウド×Manageboard
の連携で、現場と経営をつなぐ

市場の変化に応じて、組織の部門構成を柔軟に見直す企業は少なくない。老舗洋菓子メーカーの株式会社ありあけもその一社であり、頻繁な組織改編の中で月次集計や損益管理の精度に課題を抱えていた。そこで同社が選んだのが、『PCAクラウド 会計 hyper』とManageboard(マネージボード)※1の連携。経営判断を支える基盤として機能し、社員の数字への意識にも変化が現れつつある。

導入の狙いと効果

導入の狙い
  • 頻繁な組織改編により、Excel®による部門別損益などの算出・レポート化への再構築が煩雑化していた。
  • 部門別・店舗別の損益状況など、会議直前にしか数字がそろわず、部門長による事前分析が困難だった。
  • 仕訳入力の手間や、数値の内訳に関する経理への問い合わせが多発していた。
導入の効果
  • Manageboardで部門別・店舗別の損益を自動でレポート化し、帳票作成を効率化。
  • 『PCAクラウド 会計 hyper』×Manageboardの連携で、部門別・店舗別の損益を早期に可視化。会議前に部門長が自ら数値を確認・分析できる体制を実現。
  • 『PCAクラウド 商魂』や楽楽精算からの仕訳を『PCAクラウド 会計 hyper』に自動連携し、CSV経由でManageboardに反映。元帳もワンクリックで参照でき、入力作業と数値確認の問い合わせが大幅に減少。

導入システム

  • PCAクラウド 会計 hyper
  • PCAクラウド 固定資産 hyper
  • PCAクラウド 給与 hyper
  • PCAクラウド 商魂
  • PCAクラウド 商管
  • Manageboard ※1

※1:『Manageboard(マネージボード)』は、株式会社ナレッジラボの提供する、経営管理プラットフォームの製品です。

導入企業とプロフィール

株式会社 ありあけ 様

株式会社 ありあけ

本社 〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町26-1
設立日 2000年10月
資本金 1,200万円
従業員数 約400名(正社員・パート・アルバイト含)
URL https://harbour-world.jp/
事業内容

菓子及びベーカリーの製造販売及び商品開発、各種マーケティング業務、飲食店の経営

ありあけは横浜・神奈川・東京を中心にお菓子・ベーカリー製造販売及びカフェ事業を展開する企業です。現在、横浜を中心に20店ほどの直営店を構え、神奈川県内の400箇所以上で商品を展開しています。
主力商品の『ありあけハーバーシリーズ』は、長く愛される横浜銘菓として成長しています。

導入前の運用と課題

PCA製品を中核に、製造から販売まで支える業務基盤を構築

横浜銘菓「ありあけのハーバー」で広く知られる株式会社ありあけは、地元・横浜ではおなじみの存在であり、またプロ野球ファンの間でもその名を耳にする機会が多い。自社ブランドの菓子製造・販売を手がけ、横浜を中心に直営店舗を構えるほか、量販店や駅売店への卸販売など、多様なチャネルを通じて商品を提供している。

同社は以前より、基幹業務でPCA製品を利用し、業務の標準化と効率化を図っていた。操作性に優れ、使い慣れたPCA製品は、現場担当者の間でも高い評価を得ており、導入以降、継続して運用が行われていた。

「現場の声としては、PCAソフトの操作に慣れていたため、システムの見直しにおいても大きく変えたくはないという意向があり、『PCAクラウド』を継続して導入しました」(管理部チームリーダー/長 和泉氏)と、操作性の良さに加え、クラウド環境への自然な移行も後押しとなった。

また、クラウドサービスであればサーバーの維持管理が不要であり、複数拠点からの同時アクセスにも対応できることから、拠点展開を進める同社にとっては利便性の高い選択肢だった。

こうして株式会社ありあけでは、より一層の業務プロセスの安定運用と効率化を実現するため、『PCAクラウド 会計 hyper』および『PCAクラウド 給与 hyper』『PCAクラウド 固定資産 hyper』『PCAクラウド 商魂』『PCAクラウド 商管』など、PCA製品を中核に据えた業務基盤を構築してきた。

しかし、ここで1つ、大きな改善が求められることになった。それが「月次決算のスピード化・決算の見える化」だった。

株式会社 ありあけ
管理部チームリーダー
長 和泉 氏

ハーバーズムーン本店 外観

ありあけ横濱ハーバー ダブルマロン
船と港町横浜を愛してやまない柳原良平画伯でお馴染のオリジナルパッケージで、船の形をかたどった、人気の定番マロンケーキです。

選定のポイント

“見せる”会計へ。PCAクラウド 会計 hyper×Manageboardの選択理由

経営層からの「月次をもっと早く締めて出してほしい」という要望は、単なるスピード重視ではなく、会議に出席する部門長たちが事前に数字を把握し、内容を精査した上で経営判断に臨んでほしいという意図が含まれていた。

『PCAクラウド 会計hyper』上に実績データはあるものの、部門別や店舗別の損益を整理し、各責任者が理解できる形に整えるには、Excel®での再構築が必要だった。加えて、Excel®の集計作業には多くの手間と時間がかかり、数字が届くころには会議目前というケースも少なくなかった。

『PCAクラウド 会計 hyper』で出力できるのは制度会計ベースの数値であり、実質的な人件費や部門の損益構造など、より現場に近い情報は、別途Excel®上で組み直す必要があった。

特に同社の場合は、組織変更やブランド改編が頻繁に発生するため、部門構成も毎年変わる。そのたびに集計フォーマットを修正し、関数やレイアウトを調整する必要があり、メンテナンスの煩雑さは年々増していた。

「フォーマットが壊れたり、計算式が重たくなったり、属人化していて『壊れても見なかったことにしたい』と思うぐらいの状態だったんです」と、長氏は当時の運用を振り返る。こうした状況を打開するため、柔軟なレポート作成とメンテナンス性の高い仕組みを求めて、マネージボードの導入が検討された。

横浜を中心に20店ほどの直営店を構え、神奈川県内の400箇所以上で商品を展開しています。

導入のメリット

月次決算のスピードと精度を両立。現場と経営をつなぐ2つのツールの連携

『PCAクラウド 会計 hyper』とManageboardの連携で、株式会社ありあけでは月次決算にかかる時間と精度の両面で大きな改善が見られた。まず、以前はExcel®での再構成が必要だった部門別・店舗別の損益状況が、マネージボード上で整形されたレポートとして即座に確認できるようになった。部門長が会議前に数値を把握し、的確な状況判断と対策立案を行える体制が整ったことになる。

経営管理に携わる磯 昌記氏は、「意識の浸透という点ではまだ道半ばではありますが、早く数字を出すことで、部門長が会議に備えて状況を把握し、問題を分析できる環境が整いました。」と評価している。

販売や製造に関わる複数部門でのデータ共有もスムーズになり、現場と経営層との情報格差を縮めることにも、2つのツールの連携が功を奏した形だ。

柔軟なレポート活用で、帳票作成業務が大きく進化

Manageboardのレポート機能には、あらかじめダッシュボードやグラフを備えた標準レポートに加え、部門や期間、数値項目の並び順などを自由に設計できるカスタムレポートが用意されている。特に、閲覧者の立場に応じて見せ方を変えたり、紙出力用にコンパクトなレイアウトを用意したりと、複数の出力形式を使い分ける運用が同社では定着しつつある。

分析軸を変更したい場合でも「パパッと条件を切り替えて」表示できる柔軟性があり、部門・店舗・月別などの損益比較や推移確認も直感的に行えるようになった。こうした仕組みによって、分析の自由度と視認性が向上するとともに、社内での情報共有や意思決定のスピードも変化している。

構築システム概要

入力作業と問い合わせ対応を同時に軽減。“見えない負荷”の解消も

日常業務における手入力の削減や問い合わせ対応の簡素化といった“見えない業務負荷”の軽減も無視できない導入効果だ。

同社では、『PCAクラウド 商魂』や楽楽精算など、他のソフトやシステムからの仕訳データを『PCAクラウド 会計 hyper』に自動連携し、それをCSVでManageboardにも取り込む運用を実現している。これにより、二重入力のリスクが排除され、仕訳入力の正確性とスピードが向上した。

また、以前なら「この数字の内訳は?」「誰に聞けばわかるのか?」という問い合わせが経理部門に頻繁に寄せられていたが、これについてもManageboard上で元帳や関連データにワンクリックでアクセスできるようになったことで、対応の効率化が進んだ。

「元帳もワンクリックで見られるので、問い合わせ対応の時間が削減されました」という現場の声が象徴するように、情報を自分で“見に行ける”環境の整備は、現場の自律的な意思決定を支援し、結果的に経営全体のスピード感を高めることにつながっている。とりわけ20店舗弱を展開する販売部門では、店舗単位での予実比較や差異分析が可能となり、個別の数字に対する責任と分析の意識が自然と高まるという、副次的な効果も生まれつつある。

スムーズな移行と効率的運用を支える、PCAプラットフォームの柔軟性

同社がPCAをプラットフォームとして採用していたことは、大きなアドバンテージとなった。たとえば、過去3〜5年分の会計データを『PCAクラウド 会計 hyper』に移行できたことで、新たな体制に合わせたデータ設計へとスムーズに移行できた点は大きい。

また、販売管理システム『PCAクラウド 商魂』や経費精算ツールとの連携により、仕訳データの自動取り込みが実現し、手入力の工数は大幅に軽減された。実際に長氏は「PCAに向かって仕訳を起こす作業は、昔に比べて確実に減った」と語る。

さらに、『PCA hyper』シリーズは単体ソフトで構成できるため、必要な機能だけをピックアップして運用できる点も同社にとっては最適だった。大がかりなERPのように過剰な機能を抱え込むことなく、「使いたい機能を、使いたい範囲で」活用できるという点が、継続的な改善と負担の少ない運用につながっている。

今後の課題と展望

株式会社ありあけでは、予算管理の可視化の精度は向上したものの、予算策定においては、現場からの積み上げと調整によって構成されており、俯瞰的な視点においてはまだ課題がある。将来的には、5年後のビジョンを見据えた“逆算型”の計画策定体制を目指していきたいと磯氏は考えている。

同社のお菓子はロングセラー商品が多く、なかでも「ありあけのハーバー」は、一度は市場から姿を消したものの、地元の人々の情熱によって復活を遂げた象徴的なブランドである。現在では、“感動創造業”を企業理念に掲げ、横浜を代表する菓子メーカーとして、地元の人々に長く愛され続けている。

PCAは、『PCAクラウド 会計 hyper』とManageboardのように、他社ソリューションと柔軟に連携することで、こうした地域密着型企業の進化と挑戦を、これからも支え続けていくことを目指している。

株式会社 ありあけ HP
https://harbour-world.jp/

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