Ⅲ 病院会計準則の適用について

医療法人は、開設主体の会計基準である医療法人会計基準によって会計処理をおこない、貸借対照表等を作成しますが、病院会計準則によった病院単位の財務情報も算定する必要があります。

医療法人会計基準と病院会計準則とでは一部に異なる会計処理があります。この場合、下記のいずれかにより取り扱うこととされています。

  • 病院会計準則に準拠した財務諸表を別途作成する。

  • 精算表を利用して組みかえる。

  • 開設主体の会計基準に従った財務諸表に、病院会計準則との違いを明らかにした情報を「比較のための情報」として注記する

具体的項目は以下のとおりとなっています。

(1)  損益計算書の区分

付随的な収益費用

  • 医療法人会計基準:事業損益

  • 病院会計準則  :医業外損益

病院単位の財務諸表では、医業外としていたものを医療法人全体の財務諸表作成に当たっては、事業収益又は事業費用に組み替えるか、当初から事業(医業)収益又は事業(医業)費用として処理し、病院単位の財務諸表では、その旨と金額を注記して、病院会計準則に従った損益もわかるようにします。

(2)  消費税の会計処理

  • 医療法人会計基準:税抜方式・税込方式の選択可

  • 病院会計準則  :税抜方式に統一

税込方式を採用する場合には、病院単位の財務諸表において、その影響額を算出して注記することで対応します。

(3)  施設設備に係る補助金の会計処理

  • 医療法人会計基準:圧縮記帳をする

  • 病院会計準則  :負債に計上し、減価償却に応じて医業外収益に計上する

病院単位の財務諸表でも圧縮記帳した損益計算書と貸借対照表を作成した場合には、各段階利益と貸借対照表の各区分に病院会計準則との相違が生ずるので、この影響について注記することで対応します。

(4)  退職給付債務等の適用時差異の会計処理

  • 医療法人会計基準:初年度一括費用処理と一定年数での分割費用計上の選択可

  • 病院会計準則  :初年度一括費用処理

病院単位の財務諸表で、一定年数での分割費用計上を行う場合には、各段階利益と貸借対照表の各区分に病院会計準則との相違が生ずるので、この影響について注記することで対応する。

(5)  リース資産(ファイナンス・リース)の会計処理

  • 医療法人会計基準:売買取引に係る方法と賃貸借処理の選択可

  • 病院会計準則  :初年度一括費用処理

病院単位の財務諸表で、賃貸借処理を行う場合には、各段階利益と貸借対照表の各区分に病院会計準則との相違が生ずるので、この影響について注記することで対応します。

 

(6)  特別償却と税効果会計

  • 医療法人会計基準:一時差異に重要性がない場合には、税効果会計を適用しないことができる、また、特別償却についても、その金額に重要性がない場合には、正規の減価償却に含めて計上することができる。

  • 病院会計準則:医療法人会計基準のような重要性に係る具体的な規定はないが、重要性についてはあくまでも例示であることから病院単位の財務諸表でこのような処理をした場合であっても特段の注記は必要ないと考えられます。

 

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