P/L型の仕訳について

P/L型とは、期中でのプロジェクトに関する取引のすべてについて、仕掛の経過勘定を使用しないで、直接“当期製造原価”“プロジェクト売上高”で仕訳を行い、期末時点で仕掛プロジェクト分だけを“プロジェクト仕掛品”“プロジェクト前受金”に振り替える経理方法をいいます。

仕訳の方法・考え方

期中でのプロジェクトに関する仕訳

P/L型では、期中でのプロジェクトに関する支出、入金は“仕掛”“完成”の区別をせず、すべて“完成”とみなして仕訳を行います。

 

例)仕掛プロジェクトにかかる材料を掛で仕入れた場合

借方

貸方

611 (製)原材料仕入

313 PJ未払金

 

例)完成プロジェクトにかかる賃金を支払った場合

借方

貸方

641 (製)賃金

111 現金

 

例)完成プロジェクトの外注費を支払った場合

借方

貸方

651 (製)外注加工費

111 現金

 

例)仕掛プロジェクトの前受金を受け取った場合

借方

貸方

111 現金

512 PJ売上高

プロジェクトの入金に関する仕訳

プロジェクトの入金があった場合の相手科目は、そのプロジェクト仕掛プロジェクトであれば“プロジェクト売上高”を、完成プロジェクトであれば“プロジェクト前受金”を入力します。

勘定科目“461 PJ受入金”を使用すれば、そのプロジェクトマスターに登録されている“完成日”と“伝票年月日”の比較によりプロジェクト仕掛・完成を判定して適切な勘定科目に読み替えます。

個々のプロジェクトの進捗状況を意識することなく入力することが可能です。

 

例)プロジェクトの入金があった場合

借方

貸方

111 現金

461 PJ受入金

プロジェクトを指示すると  ↓

借方

貸方

111 現金

512 PJ売上高

 

  • このときに、伝票日付がプロジェクト完成日より後の日付の場合、完成後の残金の入力として判定され、以下のように読み替えられます。

 

借方

貸方

111 現金

461 PJ受入金

プロジェクトを指示すると  ↓

借方

貸方

111 現金

153 PJ売掛金

  • “461 PJ受入金”を使用せず、直接“512 PJ売上高”“153 PJ売掛金”を使用して仕訳を入力することもできます。

完成時振替仕訳

プロジェクトが期中に完成した段階で未入金が残っている場合は、「完成振替入力」を行います。

以下のような仕訳が自動で集計されます。

 

借方

貸方

153 PJ売掛金

512 PJ売上高

期末時仕掛プロジェクトの振替仕訳

プロジェクト仕訳形式」がP/L型の場合は、期中では、プロジェクトに関わる仕訳のすべてを“完成”とみなして行うため、期末時点に仕掛プロジェクトに関しては、「仕掛振替入力」処理で「プロジェクト前受金」「プロジェクト仕掛品仕掛原価科目)」への振替を行います。

また、翌期には再度、完成への戻しの振替を行います。

期末時

入金時の仕訳で入力したプロジェクト売上高プロジェクト前受金に振り替える場合

借方

貸方

512 PJ売上高

325 PJ前受金

 

期中に仕訳した完成原価科目をプロジェクト仕掛品仕掛原価科目)に振り替える場合

借方

貸方

611 シ)(製)材料仕入(仕掛原価)

611 (製)原材料仕入(当期製造原価)

 

借方

貸方

641 シ)(製)賃金(仕掛原価)

641 (製)賃金(当期製造科目)

翌期期首時

借方

貸方

325 PJ前受金

512 PJ売上高

 

借方

貸方

611 (製)原材料仕入(当期製造原価)

611 シ)(製)材料仕入(仕掛原価)

 

借方

貸方

641 (製)賃金(当期製造科目)

641 シ)(製)賃金(仕掛原価)

 

  • 振替仕訳を作成するには、「プロジェクト原価台帳」などを参照して、科目ごとの振替金額を集計しておきます。『PCA 個別原価会計シリーズ』では、これらの面倒な処理を省くため、振替金額を自動で集計する機能を持った仕訳入力処理「仕掛振替入力」をご用意しました。「仕掛振替入力」で期末時の振替仕訳を登録している場合には、「期末更新処理」を行うことで翌期首時の振り戻し仕訳を自動的に作成します。操作方法については、仕掛振替入力説明をご覧ください。

  • 仕掛原価科目は合計残高試算表や決算書の貸借対照表で「プロジェクト仕掛品」として集計されます。