B/S型の仕訳について

B/S型とは、仕掛プロジェクトに関する取引のうち、原価の発生については“プロジェクト仕掛品”に、入金については“プロジェクト前受金”に計上しておき、プロジェクトが完成したときに、それぞれを“製造原価”、“プロジェクト売上高”に振り替える経理方法をいいます。

1. 勘定科目の読替

製造原価に関する仕訳

プロジェクトの仕掛、完成に関係なく、直接製造原価勘定を使用して仕訳を入力します。

仕訳にプロジェクトを入力した時などに、そのプロジェクトマスターに登録されている“完成日”と“伝票年月日”の比較により、仕掛、完成の科目の読み替えを行います。

例)

借方に“611 (製)原材料仕入”、貸方に“313 PJ未払金”を入力します。

(1)  プロジェクトが仕掛プロジェクトの場合は、入力画面上では「(製)原材料仕入」は仕掛原価科目名「シ)(製)原材料仕入」で表示されます。

(2)  プロジェクトが完成プロジェクトの場合は、勘定科目名「(製)原材料仕入」で表示されます。

  • 勘定科目名、仕掛原価科目名は「勘定科目の登録」で編集することができます。

  • 「仕訳チェックリスト」や「仕訳帳」のように、仕訳を帳票に表示・印刷するときに、“プロジェクト仕掛品”として表示・印刷する方法と、入力のときと同様に仕掛原価科目名で表示・印刷する方法を選択することができます。

    プロジェクト仕掛品”として表示・印刷する場合は、補助科目欄に勘定科目名が表示・印刷されます(製造原価科目に補助科目が設定されていても、その補助科目の表示・印刷は行いません)。

    仕掛原価科目名で表示・印刷する場合は、その製造原価科目に補助科目が設定されていれば、補助欄にその補助科目までが表示・印刷されます。

プロジェクトの入金に関する仕訳

プロジェクトの入金があった場合の相手科目は、そのプロジェクト仕掛プロジェクトであれば“プロジェクト前受金”を、完成プロジェクトであれば“プロジェクト売掛金”を入力します。

勘定科目“461 PJ受入金”を使用すれば、そのプロジェクトマスターに登録されている“完成日”と“伝票年月日”の比較によりプロジェクト仕掛・完成を判定して適切な勘定科目に読み替えます。

個々のプロジェクトの進捗状況を意識することなく入力することが可能です。

 

例)着工前に手付金を受け取った場合

借方

貸方

111 現金

461 PJ受入金

プロジェクトを指示すると  ↓

借方

貸方

111 現金

325PJ 前受金

 

例)完成後に残金を受け取った場合

借方

貸方

111 現金

461 PJ受入金

プロジェクトを指示すると  ↓

借方

貸方

111 現金

153 PJ売掛金

 

  • “461 PJ受入金”を使用せず、直接“325 PJ前受金”“153 PJ売掛金”を使用して仕訳を入力することもできます。

2. 完成時振替仕訳

プロジェクトが完成したときには、売上の計上を行い、プロジェクト仕掛品で計上していた分を製造原価科目に振り替える作業を行います。

 

例)プロジェクトが完成したので、売上を計上する場合

借方

貸方

325 PJ前受金

153 PJ売掛金

512 PJ売上高

 

例)プロジェクトが完成したので、当期製造原価を計上する場合

借方

貸方

611 (製)原材料仕入

641 (製)賃金

611 シ)(製)材料仕入

641 シ)(製)賃金

 

  • 振替仕訳を作成するには、「プロジェクト原価台帳」などを参照して、科目ごとの振替金額を集計しておきます。『PCA 個別原価会計シリーズ』では、これらの面倒な処理を省くため、振替金額を自動で集計する機能を持った仕訳入力処理「完成振替入力」をご用意しました。

    操作方法については、完成振替入力をご覧ください。