P/L型の仕訳について

P/L型とは、期中での工事に関する取引のすべてについて、未成の経過勘定を使用しないで、直接“完成工事原価”“完成工事高”で仕訳を行い、期末時点で未成工事分だけを“未成工事支出金”“未成工事受入金”に振り替える経理方法をいいます。

仕訳の方法・考え方

期中での工事に関する仕訳

P/L型では、期中での工事に関する支出、入金は“未成”“完成”の区別をせず、すべて“完成”とみなして仕訳を行います。

 

例)未成工事にかかる材料を掛で仕入れた場合

借方

貸方

601 (工)材料費

311 工事未払金

 

例)完成工事にかかる賃金を支払った場合

借方

貸方

616 (工)賃金手当

111 現金

 

例)完成工事の外注費を支払った場合

借方

貸方

630 (工)外注加工費

111 現金

 

例)未成工事の前受金を受け取った場合

借方

貸方

111 現金

511 完成工事高

工事の入金に関する仕訳

工事の入金があった場合の相手科目は、その工事未成工事であれば“完成工事高”を、完成工事であれば“未成工事受入金”を入力します。

勘定科目“461 工事受入金”を使用すれば、その工事マスターに登録されている“完成日”と“伝票年月日”の比較により工事未成・完成を判定して適切な勘定科目に読み替えます。

個々の工事の進捗状況を意識することなく入力することが可能です。

 

例)工事の入金があった場合

借方

貸方

111 現金

461 工事受入金

工事を指示すると  ↓

借方

貸方

111 現金

511 完成工事高

 

  • このときに、伝票日付が工事完成日より後の日付の場合、完成後の残金の入力として判定され、以下のように読み替えられます。

 

借方

貸方

111 現金

461 工事受入金

工事を指示すると  ↓

借方

貸方

111 現金

152 完成工事未収入金

  • “461 工事受入金”を使用せず、直接“511 完成工事高”“152 完成工事未収入金”を使用して仕訳を入力することもできます。

完成時振替仕訳

工事が期中に完成した段階で未入金が残っている場合は、「完成振替入力」を行います。

以下のような仕訳が自動で集計されます。

 

借方

貸方

152 完成工事未収入金

511 完成工事高

期末時未成工事の振替仕訳

工事仕訳形式」がP/L型の場合は、期中では、工事に関わる仕訳のすべてを“完成”とみなして行うため、期末時点に未成工事に関しては、「未成振替入力」処理で「未成工事受入金」「未成工事支出金未成原価科目)」への振替を行います。

また、翌期には再度、完成への戻しの振替を行います。

期末時

入金時の仕訳で入力した完成工事高未成工事受入金に振り替える場合

借方

貸方

511 完成工事高

324 未成工事受入金

 

期中に仕訳した完成原価科目を未成工事支出金未成原価科目)に振り替える場合

借方

貸方

601 ミ)(工)材料費(未成原価科目)

601 (工)材料費(完成原価科目)

 

借方

貸方

616 ミ)(工)賃金手当 (未成原価科目)

616 (工)賃金手当 (完成原価科目)

翌期期首時

借方

貸方

324 未成工事受入金

511 完成工事高

 

借方

貸方

601 (工)材料費 (完成原価科目)

601 ミ)(工)材料費 (未成原価科目)

 

借方

貸方

616 (工)賃金手当(完成原価科目)

616 ミ)(工)賃金手当(未成原価科目)

 

  • 振替仕訳を作成するには、「工事原価台帳」などを参照して、科目ごとの振替金額を集計しておきます。『PCA 建設業会計シリーズ』では、これらの面倒な処理を省くため、振替金額を自動で集計する機能を持った仕訳入力処理「未成振替入力」をご用意しました。「未成振替入力」で期末時の振替仕訳を登録している場合には、「期末更新処理」を行うことで翌期首時の振り戻し仕訳を自動的に作成します。操作方法については、未成振替入力説明をご覧ください。

  • 未成原価科目は合計残高試算表や決算書の貸借対照表で「未成工事支出金」として集計されます。