資産除去債務に関する会計基準について
参考資料:「資産除去債務に関する会計基準」について
平成22年4月1日以後開始事業年度から適用される資産除去債務に関する会計基準に対応しております。
なお、資産除去債務に関する会計基準の詳細については、
「資産除去債務に関する会計基準」(企業会計基準第18号 平成20年3月31日企業会計基準委員会)
「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第21号 平成20年3月31日企業会計基準委員会)
をご参照ください。
【資産除去債務とは】
(1) 「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいいます。この場合の法律上の義務及びそれに準ずるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務も含まれます。
(2) 有形固定資産の「除去」とは、有形固定資産を用役提供から除外することをいいます(一時的に除外する場合を除く)。除去の具体的な態様としては、売却、廃棄、リサイクルその他の方法による処分等が含まれますが、転用や用途変更は含まれません。また、当該有形固定資産が遊休状態になる場合は除去に該当しません。
【適用時期】
|
原則 |
平成22年4月1日以後開始する事業年度 |
|
早期適用 |
平成22年3月31日以前に開始する事業年度から早期適用可 |
【適用対象法人】
-
金融商品取引法適用上場会社等
-
資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社法上の大会社
-
会計監査人設置会社
【適用対象資産】
-
有形固定資産
本会計基準でいう有形固定資産には、財務諸表等規則において有形固定資産に区分される資産のほか、それに準じる有形の資産も含みます。したがって、建設仮勘定やリース資産のほか、財務諸表等規則において「投資その他の資産」に分類されている投資不動産などについても、資産除去債務が存在している場合には、本会計基準の対象となることに留意する必要があります。
【内容】
-
資産除去債務の負債計上
資産除去債務は、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって発生したときに負債として計上します。
-
資産除去債務の算定
資産除去債務はそれが発生したときに、有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価値)で算定します。
-
資産除去債務に対応する除去費用の資産計上と費用配分
資産除去債務に対応する除去費用は、資産除去債務を負債として計上したときに、当該負債の計上額と同額を、関連する有形固定資産の帳簿価額に加えます。
資産計上された資産除去債務に対応する除去費用は、減価償却を通じて、当該有形固定資産の残存耐用年数にわたり、各期に費用配分します。
-
時の経過による資産除去債務の調整額の処理
時の経過による資産除去債務の調整額は、その発生時の費用として処理する。当該調整額は、期首の負債の帳簿価額に当初負債計上時の割引率を乗じて算定します。
【税務上の取扱い及び申告調整】
-
税務上の取扱い
税法の債務確定主義と相容れない内容であり、税務上は認められていません。
-
申告調整
-
有形固定資産の取得価額に加算された額についての減価償却費については、減価償却超過額として加算(留保)の調整
-
利息費用については、加算(留保)の調整
-
対象の有形固定資産を除却した日の属する事業年度において、一括で認容=減算(留保)
-
『PCA 固定資産シリーズ』における取扱い
申告書について
-
別表十六については、本体資産の金額のみ集計します。
-
資産除去債務については、本体資産とは別に管理します(本体資産の取得価額等には影響させません)。
別表四及び別表五(一)にて申告調整します(『PCA 固定資産シリーズ』では対応しておりません)。
-
申告調整の参考資料として資産除去債務一覧を作成します。
台帳・一覧について
減損や配賦などの帳票以外については、本体資産の金額に資産除去債務の金額を加算した金額を集計します。
償却額の仕訳について
資産除去債務の金額を加算した金額を集計します。
『PCA 固定資産シリーズ』において、資産除去債務の登録手順は以下のとおりです。
(1) 会社基本情報の登録
「前準備」-「会社基本情報の登録」-「環境設定」タブで、「資産除去債務:計上する」を選択します。
(2) 資産の登録
-
「個別表示画面」の「基本(2)」タブの[資産除去債務]ボタンをクリックすると、「資産除去債務」画面が表示されます。ここで資産除去債務についての「資産計上分」及び「資産除去債務分」を登録することができます。
-
※ 償却方法が「定額法」「定率法」「対象外」の場合のみ、リース資産登録では償却方法が「定額法」「定率法」(リース資産区分が「0:ファイナンス(所有権移転)」)の場合のみ登録することができます。
-
-
資産計上した資産除去債務について、「除却・売却」する場合には、除去に係る支出を「除却・売却」画面にて登録することができます。
-
※ [資産除去債務が使用の都度発生する場合]、[資産除去債務の見積りの変更があった場合]については後記の「具体例」をご参照ください。
-
(3) 事業年度の繰越
-
繰越処理をした場合には、繰越前の「取得価額」に「期末調整額」を加算した金額が、繰越後の「取得価額」となります。
-
期末調整額を入力した場合には、金額をご確認ください。
【申告書】
別表十六には資産除去債務分は集計されません。
資産除去債務については別表四及び別表五(一)にて申告調整してください。
【台帳・一覧】
以下の台帳・一覧に資産除去債務分が加算されます。
-
固定資産台帳
-
償却済資産一覧
-
移動資産一覧
-
月次償却額一覧
-
償却実績額一覧
-
有形固定資産等明細表
以下の台帳・一覧が追加されます。
-
資産除去債務一覧 (登録された資産除去債務の一覧)
【予定額一覧】
以下の一覧に資産除去債務分が加算されます。
-
償却予定額一覧
【その他注意事項】
-
社会福祉法人・公益法人の場合には使用できません。
-
償却資産税の対象には資産除去債務は含まれていません。
-
減損の対象には資産除去債務は含まれていません。
具体例
資産除去債務が使用の都度発生する場合(適用指針[設例 4]より)
-
前提条件:設備A
-
20X1年4 月1 日に取得し使用開始、当該設備使用後に除去する法的義務がある。
-
取得原価:10,000
-
耐用年数:10 年
-
除去する時の支出の見積もり額:3,000
(2,000:取得時点発生、1,000:通常の使用における稼働時間に応じて毎期10分の1(100)ずつ発生)
-
残存価額:0
-
償却方法:定額法
-
会計基準第8 項なお書きに定める方法により会計処理を行うものとする。
-
決算日:3月31日
-
※ 時間価値の考慮(割引)はしない。
-
-
会計処理
(1) 20X1年4月1日
-
設備Aの取得時点で発生する資産除去債務2,000 を負債として計上
-
それに対応する除去費用2,000 と設備Aの取得原価10,000 の合計である12,000 を資産計上
-
資産の使用の都度発生する資産除去債務1,000 は、当該設備の取得時には負債に計上しない。
有形固定資産
12,000
/
現金預金
資産除去債務
10,000
2,000
(2) 20X2年3月31日
設備Aの減価償却費
費用(減価償却費)
※1 1,200
/
減価償却累計額
1,200
※1 設備Aの減価償却費12,000/10 年=1,200
土地の汚染に係る支出100
(設備Aの使用の都度発生するため、資産除去債務を各期において負債の増加分として区別する)
有形固定資産
100
/ 資産除去債務
100
資産計上された除去費用の費用配分の合理的な方法として、資産計上された除去費用100を資産計上したのと同一の期間に、資産計上額と同一の金額を費用処理するため、費用計上額は、次のようになる。
費用(減価償却費)
100
/ 減価償却累計額
100
使用の都度発生する額を、期末調整額にて登録することができます。
-
使用の都度発生する額 100を「資産計上分」-「期末調整額」に入力します。
-
使用の都度発生する額 100を加算した当期償却額 300を「資産計上分」-「当期償却額」に上書入力します。
-
※ 繰越処理をした場合には、繰越前の「取得価額」に「期末調整額」を加算した金額が、繰越後の「取得価額」となります。
-
※ 期末調整額を入力した場合は、金額をご確認ください。
-
資産除去債務の見積りの変更があった場合(適用指針[設例 5]より)
-
前提条件
-
20X1年4月1日に取得し使用開始、当該設備使用後に除去する法的義務がある。
-
耐用年数:5年
-
残存価額:0
-
償却方法:定額法
-
決算日:3月31日
-
20X1年4月1日に資産除去債務として負担している金額を負債に計上し、有形固定資産の帳簿価額を同額増加させる処理を行う。
-
将来キャッシュ・フローの見積りと割引率を用いて、資産除去債務の割引価値を算定する。
-
資産除去債務は、取得時にのみ発生し、取得後の増減は見積りの変更によるものである。
-
※ 設備の取得に関連する資産除去債務の会計処理のみ示します。
年 月 日
設備の除去に必要な将来キャッシュ・フローの見積額
割引率
(1)
20X1年 4月 1日
5年後の見積額は1,200 であった。
3.0%
(2)
20X2年 3月31日
4年後の見積額に変更はない。
3.0%
(3)
20X3年 3月31日
3年後の見積額は1,500 に増加した。
2.5%
-
-
会計処理
(1) 20X1年4月1日
設備の取得と関連する資産除去債務の計上
有形固定資産
1,035
資産除去債務※1
1,035
※1 将来キャッシュ・フロー見積額1,200/(1.03)5=1,035
(2) 20X2年3月31日
時の経過による資産除去債務の増加
費用(利息費用)
31
/
資産除去債務※2
31
※2 20X1年4月1日における資産除去債務1,035×3.0%=31
資産計上した除去費用の減価償却
費用(減価償却費)※3
207
/
減価償却累計額
207
※3 20X1年 4月 1日における除去費用資産計上額1,035/5年=207
(3) 20X3年3月31日
時の経過による資産除去債務の増加
費用(利息費用)
32
/
資産除去債務※4
32
※4 20X2年3月31日における資産除去債務(1,035+31)×3.0%=32
資産計上した除去費用の減価償却
費用(減価償却費)※5
207
/
減価償却累計額
207
※5 20X1年に資産計上した除去費用1,035/5年=207
将来キャッシュ・フロー見積額の増加による資産除去債務の調整
有形固定資産
279
/
資産除去債務※6
279
※6 将来キャッシュ・フロー見積額の増加300/(1.025)³=279(会計基準第11項)
資産除去債務の見積りの変更による増減の額を、期末調整額にて登録することができます。
-
変更による見積額 1,500を「資産除去債務分」-「見積額」に入力します。
-
見積りの変更による増額 279を「資産計上分」-「期末調整額」に入力します。
-
※ 期末調整額には帳簿価額を下回る減額を入力することができません。
-
※ 繰越処理をした場合には、繰越前の「取得価額」に「期末調整額」を加算した金額が、繰越後の「取得価額」となります。
-
※ 期末調整額を入力した場合は、金額をご確認ください。