導入事例
東北砕石株式会社 様

ダンプは休みなく走る、そのたび増える紙伝票――1日数百件の伝票を自動化したクラウドDX
東北地方屈指の砕石生産量を誇る東北砕石株式会社。だが、その足元には意外な弱点があった。出荷のたびに発生する数百件の伝票を人手で処理する──。販売管理の仕組みは“場所と人に縛られる”古い慣習にとどまっていた。その状況を大きく変えたのが『PCAクラウド 商魂』だった。分析機能を活用することで、感覚に頼った数字から脱却し、売上の動きを正しく“見える化”。営業戦略に直結するデータ活用が可能になった。さらに、同社が独自開発した出荷カード連携システムを組み合わせ、伝票処理を自動化。これまで人手に頼っていた作業を一気に刷新し、現場の働き方を根本から変えている。
導入の狙いと効果
- 導入の狙い
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- 紙伝票中心の販売管理を改め、効率的で正確な処理体制を構築したい。
- 迅速で正確なデータに基づいた営業判断を実現したい。
- クラウド基盤を整備し、リモート対応や外部連携に備えたい。
- 導入の効果
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- 自社開発の出荷カードシステムと『PCAクラウド 商魂』をAPI連携し、伝票処理を自動化。1日数百件の入力負担をほぼ解消し、担当者は確認や判断といった上位業務に集中できるようになった。
- 『PCAクラウド 商魂』の売上順位表や比較売上表などを活用し、主力製品や価格変化、休眠顧客を可視化。営業部門と製造部門が同じデータで迅速に戦略を立てられるようになった。
- 『PCAクラウド』で請求や入金確認をリモートでも対応可能にし、柔軟な働き方を後押し。将来の納品書電子配信にもつながる基盤を構築した。
導入システム
- PCAクラウド 商魂
- PCAクラウド Web-API
- PCAクラウド 給与
- PCA Hub 給与明細
導入企業とプロフィール
東北砕石株式会社
| 住所 | 〒999-3723 山形県東根市大字観音寺字岩下1600 |
|---|---|
| 設立 | 昭和42年8月1日 |
| 資本金 | 30,000,000円 |
| 業種 | 製造業 |
| URL | https://www.saiseki.co.jp/ |
| 業務内容 | 砕石製造業 |
導入前の運用と課題
“東北随一の砕石生産力”――その裏で積み上がる紙伝票の壁
東北地方の公共工事や住宅・商業施設の建設に欠かせない砕石。その安定供給を長年担ってきたのが、山形県に拠点を構える東北砕石株式会社だ。約1,400万㎥という膨大な埋蔵量を誇り、東北随一の生産力で地域のインフラ整備を支えてきた。現場には大型ダンプがひっきりなしに出入りし、その迫力ある光景は、地域経済を根幹から支える姿を象徴している。
こうした力強い事業の裏側で、販売管理には古い慣習が残っていた。同社の売上は、砕石を積み込む体積(1㎥単位)を基準に計上される。ダンプの大きさや荷台の容量によって積載量が異なるため、出荷のたびに台数と容量を換算して伝票を起票しなければならなかった。結果として、一日数百件にのぼる伝票が紙ベースで発生し、請求や売上確認のためには担当者が事業所に足を運ぶしかなく、効率化が進まない状況が続いていた。
「以前のシステムは、スタンドアロンで使う形でした。請求書を発行するには、事務所にいなければ何もできなかったんです。事務所に来なければ売上情報にアクセスできない…そのような環境をなんとかしたいと考えました。また営業活動に必要な売上情報を、いろんな角度から分析したかったのですが、以前のシステムでは難しい状況でした」と取締役(東根事業所所長)を務める小松 瑞氏は振り返る。
そもそも、紙の伝票はチェック作業の負担が大きい。毎日膨大に積み上がる帳票を目視で確認し、入力ミスや単価のズレがないかを突き合わせる作業が続いていた。
「当時は、紙の伝票や数字の確認に追われる日々で、正直それだけで大きな負担になっていました。どうしても“ローカルルール”が多くて非効率だったんです。それを改善するには、まずは業務を全部バラして、ひとつひとつ整理する必要がありました」
さらに、直接的な検討のきっかけとなったのは、旧システムのOSとハードウェアの耐用年数が限界を迎えたことだった。更新のタイミングを迎えた今こそ、根本的に仕組みを見直す好機と判断したのだ。
地域インフラを支える使命の裏で、販売管理は“場所と人に縛られる業務”が続いていた。そこで、効率化と精度向上を超えて、業務そのものを抜本的に変革する――同社にとってのDXへの挑戦が始まった。
取締役 東根事業所 所長
小松様
選定のポイント
『PCAクラウド』で新たな基盤を構築――決め手は長年の信頼とAPIの柔軟性
東北砕石株式会社が新しいシステムに求めたのは、場所や人に縛られない体制をつくること。さらには外部サービスとの連携にも対応できる柔軟性だった。こうした観点から、クラウド化は同社にとって自然な流れだった。
導入したのは『PCAクラウド 商魂』を中心に、『PCAクラウド 給与』や給与明細を電子配信する『PCA Hub 給与明細』、さらに勤怠管理システム「クロノス」を組み合わせた構成である。販売管理と人事・給与業務をクラウド上でつなげることで、全社の基盤を一体的に整える狙いがあった。
「必要な機能がシンプルに使えること、そしてAPIが公開されているため他システムとスムーズに連携できること。この2つは非常に大きなポイントでした。長年『PCA給与』を利用してきた実績と信頼感もあり、『この基盤なら任せられる』と判断できました」と小松氏は『PCAクラウド』の選定理由を語る。
導入のメリット
小松氏と社長のリーダーシップが導いた、現場に根付くDX導入プロセス
2022年に『PCAクラウド』導入を決定後、約1年をかけて機能検証と業務設計を実施。試験運用を経て、2024年春に本格稼働を迎えた。分析設計を主導した小松氏と、五十嵐社長の強い後押しのもと、現場の理解を得ながら段階的に移行を進めたことで、「紙中心の慣習からの脱却」を全社員が実感できるDX推進へとつなげた。
“勘”から“数字”へ――『PCAクラウド 商魂』の分析機能で攻めの営業戦略へ
導入効果の1つに挙げられるのが、『PCAクラウド 商魂』の分析機能を活用した営業戦略と生産体制の精度向上だ。
たとえば「売上順位表」で商品別・得意先別の売上を確認すれば、どの製品や顧客が売上の大部分を占めているのかを一目で把握でき、生産や販売の重点を絞り込む指針になる。実際に同社では、「売上順位表」によって上位2製品だけで全体の約7割を占めていることが明らかになった。こうした事実は、現場の感覚だけでは正確に捉えきれなかったものであり、生産シフトの判断に直結している。
「比較売上表」では前年・前々年比を自在に切り替えられ、数量が伸びているのに売上が伸びない=安価な製品の比率が増えている、といった変化も即座に把握できる。さらに「無実績一覧表」では取引が途絶えた顧客をすぐに洗い出せるため、営業活動における休眠掘り起こしにもつながる。
顧客別の売上構成を俯瞰できる「ABC分析」や、エリアと品種を掛け合わせた「マトリクス分析(売上行列表・仕入行列表)」も活用。地域ごとの公共工事や民需の動向を読み取り、営業の攻めどころや生産配分を調整できるようになった。

現場を変えた独自カードシステム――API連携で伝票処理をゼロへ
砕石の出荷現場では、1日200~300件にも及ぶ伝票が発生する。ダンプ車1台ごとに積載量が異なり、これを都度手入力していては、現場の作業が追いつかない。そこで同社では、自社開発による「出荷カードシステム」を構築し、『PCAクラウド 商魂』とAPIで連携させる仕組みを生み出した。
運転手が非接触カードを受付端末にタッチすると、車両番号・顧客名・積載量が自動認識され、あとは商品と数量を選ぶだけ。入力データは社内Webサーバ上のSQLデータベースに登録され、APIを通じて『PCAクラウド 商魂』へリアルタイムで送信される。
これにより、納品書発行から売上計上までを完全自動化。人手による伝票入力はほぼゼロとなり、従来1日かかっていた処理をわずか数分で完結できるようになった。
現在は主要顧客だけでも700~800台の車両をカードで一元管理しており、受付担当者の負担軽減やミス防止に大きく寄与している。また、受付情報は即座に現場の出荷状況と連動するため、「誰が・いつ・どの製品を出荷したか」をリアルタイムで把握でき、データの信頼性が格段に向上した。
システムはブラウザUIで構築されており、OSや端末に依存せず運用できるのも特徴だ。カードリーダー、Webサーバ、SQL系データベースを組み合わせたシンプルかつ堅牢な構成で、APIの連携頻度も即時~日次まで柔軟に設定可能。クラウド上の販売データと現場端末の情報を常時同期できる点は、『PCAクラウド 商魂』APIの大きな強みといえる。
現場発の仕組みが生む波及効果――PCAのAPIが支える再販モデルへ
開発費については「受付人員の最適化により3年以内に投資回収できる見込み」と小松氏。システム開発の専門家ではない同氏が、現場の課題から逆算して設計を主導した点にも注目だ。こうして構築された仕組みは、『PCAクラウド』のAPIを使えば、現場発の改善を誰でも実現できることを示す好例となった。
この仕組みは、砕石業界にとどまらず、建材・運輸・製造業など出荷伝票や受付処理を伴う他業種にも応用可能である。すでに同社では、ゲート受付の無人化や他拠点とのデータ統合も構想に入れており、PCAのAPI基盤を活かした再販・横展開のテンプレートモデルとして、今後の拡張が期待されている。まさに、“現場が生み出すDX”を体現する仕組みである。
今後の課題と展望
DXの真価――現場が“考える仕事”に集中できる体制へ
現在同社では、紙伝票は激減し、数字チェックのための単純作業から解放された担当者は、異常検知や単価の妥当性判断といった“考える仕事”に集中できるようになった。請求から入金確認まで遠隔でも対応可能となり、育休や在宅勤務といった柔軟な働き方にもつながっている。
また、ユーザーごとにアクセス権限を細かく設定できるようになり、経理処理を役割ごとに安心して分担できる体制が整った。セキュリティや内部統制の面でも大きく改善している。
「以前は半日かかっていた作業が、今では15分で終わることもあります。その分、本来注力すべき業務に時間を割けるようになりました」(小松氏)
こうした成果を支えたのは、徹底した業務の見直しである。ローカルルールに依存していたプロセスを一度“分解”し、基本に忠実な会計処理へと整理し直したこと。得意先コードや商品区分など、将来どのようにデータを分析・活用したいかを逆算してマスタを設計したこと。さらに、社長の強い後押しと、実データを使った現場の試行によって、紙からデジタルへ移行する際の抵抗感を乗り越えられたことも大きい。これらは、同社が「単なるシステム更新ではなく、業務全体を進化させる」ことに挑んだからこそ得られた成果だ。
そして挑戦はまだ続く。次のステップとして、納品書の電子配信(『PCA Hub 取引明細』の活用)に段階的に取り組むことも検討している。顧客側のメール環境といった外部要因もあるため、拙速ではなく丁寧に進める方針だ。地域インフラを支える基盤産業でありながら、新しい仕組みに果敢に取り組み続ける東北砕石の姿勢は、同業他社にとっても大きな示唆を与えるだろう。
https://www.saiseki.co.jp/
本導入事例の導入製品・サービス以外にも
さまざまな製品・サービスを提供しています。
ピー・シー・エーから一言
日頃よりPCAのサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
PCA商魂と密に連携する「出荷カードシステム」を拝見した際には我々メーカーが思い描いていた理想の連携が目の前で実現されていることに、今でも鮮明に記憶しているほどの大きな衝撃を受けました。
今後も様々な構想があると伺っており、私個人としても貴社の今後が非常に楽しみです。
ぜひその未来の実現に、PCAのサービスとのさらなる連携を通じてご一緒させていただければ幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。
『PCAクラウド 商魂・商管』をご利用いただきありがとうございます。
現場の実務から出発し、紙伝票中心の業務をAPI連携で一気に刷新された皆様の取り組みは、私たち開発者にとっても大きな学びと励みになりました。
また売上順位表・行列表・ABC分析を日々の意思決定に活用いただき、心より感謝申し上げます。上位製品の見極め、エリア×品種の伸長、重点顧客の明確化を実務に結びつけられたこと大変光栄に存じます。
『PCAクラウド 商魂・商管』では様々なシステムと連携できるようにAPIの実装に力を入れています。
機能の追加や改善は今後も継続し、お客様にとってさらに便利なサービスを提供できるよう努めてまいります。
引き続きPCA製品をご愛顧のほどよろしくお願いいたします。