導入事例

株式会社小松鐵工所 様

株式会社小松鐵工所 様

赤字案件を“見える化”で断ち切った。
PCA×kintoneで実現した、製造業DXの成功モデル

鉄鋼・金属加工メーカーである小松鐵工所。かつては紙とそろばんに頼るアナログ管理で、見積内容や原価を把握しづらい環境だった。そのため収益性の見極めが課題となっていた。この難局を打破したのが、『PCAクラウド』とkintoneの連携による「利益の見える化」である。事務工数を劇的に削減しただけでなく、赤字案件の削減という業績向上を成し遂げた。創業70年を超える製造現場がいかにして情報の分断を克服したのか、そのDXの舞台裏をうかがった。

導入の狙いと効果

導入の狙い
  • 見積~請求までの情報分断をなくし、ミスと確認作業を減らしたい。
  • 見積段階で原価・利益率を見える化し、収益性を判断できる状態にしたい。
  • 少人数でも回る、場所を選ばない業務基盤を整えたい。
導入の効果
  • PCA×kintone連携で情報がリアルタイム共有され、転記ミス・確認漏れを抑制。
  • 利益率の共有と目標設定が進み、採算の合わない案件が大きく減少。
  • 『PCAクラウド』で在宅対応が可能となり、事務作業が「2~3日→1~2時間」へ短縮。

導入システム

  • PCAクラウド 商魂
  • PCAクラウド 会計
  • PCAクラウド Web-API
  • kintone(サイボウズ株式会社)

導入企業とプロフィール

株式会社小松鐵工所様

住所 〒321-0105 栃木県宇都宮市横田新町1-40
設立 昭和29年4月10日
資本金 1,000万円
業種 製造業
URL https://www.komatsu-ironworks.co.jp/
業務内容 航空機生産設備、航空機組立治工具、プラント設備工事、建築装飾品、サイロ製作設置、ステンレス・アルミ構造物、第2種圧力容器設計製作、熱処理治具設計製作、危険物屋外貯蔵タンク開放検査、沈殿槽、減温塔、工場設備製缶工事、水・油・薬品貯蔵タンク、製缶全般設計製作、土木工事用各種加工品、鉄塔鉄骨工事、煙突設計製作建方、リサイクルプラント加工品

導入前の運用と課題

長年の技術力を支えた「紙と経験」――そこに潜んでいた業務リスク

栃木県宇都宮市に拠点を置く株式会社小松鐵工所は、タンクやサイロなどのプラント設備や精密な航空機組立治具を手掛ける鉄鋼・金属加工メーカーである。長年にわたり培ってきた技術力と対応力で、多くの取引先から信頼を得てきた。その一方で、業務の進め方は長らく「人の経験」と「紙」に支えられてきた。

見積書、納品書、請求書といった帳票類は基本的に手書き、あるいは個人のPC上で管理するオンプレミス型ソフトで作成され、情報の共有が難しかった。とくに営業部門と管理部門の間では、情報の受け渡しが人に依存しており、業務が分断された状態だったという。

「ただし、業務自体は回っていました。しかしながら、“見えていなかったこと”が多かったんです」(代表取締役社長 小松芳充氏)

見積内容の変更や納期の調整が発生した際に、その情報がリアルタイムで共有される仕組みはなかった。営業社員が修正した内容が管理側に伝わらず、請求金額に差異が生じたり、確認のためのやり取りを何度も行っていたという。

また、原価率や利益率についても、明確に把握できる仕組みが整っていなかった。

「もちろん原価は一つひとつ計算していましたが、案件ごとの利益をすぐに確認できる状態ではありませんでした。結果として、“このくらいだろう”という、感覚に頼らざるを得ない面もありました」(小松芳充氏)

「請求書を出す前に、あちこちに確認を取る必要がありました。金額は合っているか、納期は変わっていないかなど、その確認作業も負担の一つになっていました」(総務部マネージャー 小松幸恵氏)

100%受注生産型の同社にとって、正確な原価把握は生命線ともいえる。「このままではいずれ限界が来る。そう感じていました」(両氏)。小松鐵工所が次の一手を考え始めたのは、まさに次のようなタイミングだった。

会社外観

選定のポイント

単なるツール刷新ではなく、業務設計を見直すという選択

そのタイミングとは、利用してきた見積作成ソフトがサポート終了時期を迎えたことだった。しかし、単にソフトを入れ替えるだけでは根本的な解決にならないと両氏は考えていた。

「見積ソフトだけを新しくしても、結局その後の流れが変わらなければ意味がない。見積から請求まで、業務全体を見直す必要があると感じていました」(小松幸恵氏)

その要件を満たすツールとして浮上したのが、『PCAクラウド 商魂』だった。

「決め手の一つは、見積段階で『原価』を入力でき、即座に画面上で『利益率』が可視化されることでした」 (小松芳充氏)

1点ものの製品それぞれに異なる原価を正確に把握し、適切な利益を乗せて提出する。以前の「なんとなくの見積」から脱却できる機能が、『PCAクラウド 商魂』には備わっていた。加えて、営業社員が無理なく使える操作性も重要な判断材料だった。

「どんなに機能がそろっていても、現場が使えなければ意味がありません。営業が普段の業務の流れの中で使えることは、かなり意識しました」(小松幸恵氏)

こうして同社は、単なるツールの入れ替えではなく、「見積を起点に、業務全体を見直す」取り組みへと踏み出した。

社内風景

導入のメリット

営業の入力がそのまま経営データに――PCA × kintone連携の仕組み

現在の運用の核となっているのが、『PCAクラウド 商魂』による見積・販売管理と、「kintone」(サイボウズ株式会社)による案件管理の連携である。

営業社員はまず『PCAクラウド 商魂』で見積を作成し、その時点で原価や利益率を確認する。受注後は、案件の進捗や納期、金額の変更といった情報をkintone上で管理し、関係者間でリアルタイムに共有する仕組みだ。

最終的な売上処理や請求業務は、kintoneで管理された情報をもとに『PCAクラウド 商魂』で行うことで、転記ミスや確認漏れを防止。こうした一連の流れが、業務の属人化を解消し、正確でスムーズな処理を可能にしている。

kintoneの導入と聞くと、「構築が大変そう」「専門知識が必要なのでは」と感じる企業も少なくない。しかし小松鐵工所では、その印象は良い意味で裏切られたという。小松幸恵氏は、前職で技術営業の経験はあったものの、専門的なプログラミング知識を持っていたわけではない。それでもスムーズに進んだのは、kintoneがノーコードでアプリを構築できる点に加え、PCAの担当者による伴走支援があったことも大きかったと語る。

「やりたいことを伝えると、PCAの担当の方が『こうすればできますよ』とリモートで設定を教えてくれました。 2つのシステムの連携については、驚くほどスムーズでしたね」(小松幸恵氏)。 このように、同社のDXは加速していった。

お仕事の様子
構築システム概要

赤字案件が減少した理由――数字を見える化した効果

『PCAクラウド 商魂』とkintoneの連携がもたらした最大の成果は、経営の根幹に影響する「赤字案件」が、目に見えて軽減したことである。

以前は経営層のみが把握していた物件ごとの原価や利益率などの重要数値を、現在はkintoneの掲示板や営業会議を通じて、社員がいつでも確認できる状態にしている。

「かつては経営情報が一部に集約された体制だったため、個別の物件でどれだけ利益が出たかという情報は、必ずしも従業員に共有されていませんでした。しかし現在は、見積段階から『PCAクラウド 商魂』で利益率を可視化し、それをkintone上で社内の関係者に共有。さらに月1回の営業会議を新設し、私から明確な目標を提示することで、社員が“利益の確保”という同じ意識を持つようになりました」(小松芳充氏)

数字が透明化されたことで、営業社員は自らの案件が会社にどれだけ貢献しているかを客観的に把握し、目標達成に向けて自発的に動くようになったという。

「社員の意識が目に見えて変わりました。結果として、採算の合わない案件が減ったのです」と小松芳充氏はその手応えを語る。社員の意識も変えるという、DX化の本来の目的を同社は見事に達成している。

2~3日の作業がわずか1時間に。『PCAクラウド』で子育てと仕事を両立できる環境

DXがもたらしたもう一つの大きな効果は、働き方の劇的な変化だ。現在、同社の管理部門は小松幸恵氏がほぼ一人で担っている。販売管理から会計、さらには給与計算まで、幅広い業務を担当している。同氏は現在、子育ての真っ最中ということもあり、平日の日中に会社へ出社できる時間は限られている。それでも業務が滞りなく回っているのは、クラウド化の効果だ。

「子供が帰宅した後の午後は家事に専念し、子供が寝た後の夜間や休日に自宅でPCを開いて事務作業を行うこともあります。自宅の方がかえって集中して作業が進む面もありますね」(小松幸恵氏)

かつては特定の担当者が「紙とそろばん」で行っていた属人的な業務は、クラウドという「場所を選ばない仕組み」へ移行し、育児との両立を可能にする柔軟な基盤へと生まれ変わった。実際に、以前は完了までに2〜3日を要していた事務作業が、現在ではわずか1〜2時間で終わるなど、圧倒的な作業効率の向上を実現している 。

今後の課題と展望

小松鐵工所の視線は「100年企業への基盤づくり」へと向けられている。その柱の一つがデータの資産化だ。十数年前の製品のリピート注文に対しても即座に詳細を確認し、技術とノウハウを確実に継承できる体制を整えようとしている。また、同社の様々な取り組みは昨今の人材不足への強力な対策にもなっている。「人材を、いかに辞めさせない会社をつくるか」という考えのもと、働きやすさの向上と就業規則の改定をセットで実施した。実際に同社は離職率が低く、社員が長く安心して働ける環境を実現している。

現在、同業他社で事業承継がうまくいかず廃業するケースが増える中、同社には「これまでの仕事を小松鐵工所にお願いしたい」という新たな相談も増えており、地域経済を支える必要不可欠な存在としてその重要性を増している。同社にとって、DXは単なるツール導入ではなかった 。それは、技術を守り、人を守り、地域を守るための「会社の未来をつくる仕組み」そのものだったといえるだろう。

株式会社小松鐵工所様 HP
https://www.komatsu-ironworks.co.jp/

ピー・シー・エーから一言

  • クラウドインテグレーショングループ コメント

    この度は、『PCAクラウド』、ならびに『PCAクラウド連携プラグイン for キントーン』をご利用いただき、誠にありがとうございます。
    導入設定のご支援において、既存の業務のやり方にとらわれずに業務効率改善という明確な目標に向かって取り組まれていたことにとても感銘をうけました。

    今回お話をお聞きする中で、連携活用によりさまざまな良い効果が出てきているとのことで大変うれしく思うとともに、より多くのお客様での業務改善の参考になるようにこの事例をどんどん広めていきたいと強く感じました。

    引き続き、ご愛顧のほどよろしくお願いいします。

  • 営業コメント

    日頃より弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。『PCAクラウド』と『kintone』をAPIで連携して運用することでお客様の業務のDX推進の一助となれたこと大変うれしく思います。

    原価や利益率といったお金の動きは『PCAクラウド 商魂』を確認する、受注後の案件の進捗や納期といった時系列の部分は『kintone』とそれぞれのサービスの得意分野を上手く利用してデータ共有する仕組みを社内で構築されていて我々としても非常に勉強になりました。

    これからも皆様の業務改善・DX推進のお役にたてるよう製品機能・サービス向上に努めて参ります。引き続きよろしくお願いいたします。

  • 開発コメント

    『PCAクラウド 商魂』をご利用いただき、ありがとうございます。
    『kintone』とのプラグイン連携により、業務効率の改善に貢献できたことを大変嬉しく思います。

    『PCAクラウド 商魂』のご活用によって、原価入力から利益率算出まで意思決定に直結させ、営業現場の入力がそのまま経営情報として活用されているご様子が窺えました。開発者の一人として非常に喜ばしく感じています。
    また、クラウド環境によって、2~3日の事務作業が1~2時間へ短縮され、育児と仕事の両立や属人化解消への後押しにも繋がったことと思います。これはまさに『PCAクラウド』がお客様に体現していただきたい姿そのものでした。

    機能の追加や改善は今後も継続し、さらに便利なサービスの提供に努めてまいります。
    引き続き、PCA製品をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

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