導入事例
高知市森林組合 様

独自の会計基準を持つ森林組合にも『PCA会計X』で対応。数字をスピーディーに共有化することで、職員の経営意識のさらなる向上に。
高知市・鏡川の渓流沿いに事務所を構える高知市森林組合。約2年前に『PCA会計X』『PCA給与X』を導入し、その効果は単に集計ミスを防ぐ業務の効率化だけにとどまっていない。PCA製品によって職員たちが「数字を共有」することで、高い経営意識にも繋げているのだ。特殊な組合会計にも応用できる『PCA会計X』『PCA給与X』のメリット、さらにPCA製品を使いこなすための有益なアドバイスもいただいた。
導入の狙いと効果
- 導入の狙い
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- 手書きの処理による計算ミスや時間の問題を解決したい。
- 独特な会計基準の組合会計だが、なるべくコストを抑えた会計ソフトで処理したい。
- 職員の誰もが数字を把握できる環境にしたい。
- 導入の効果
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- 『PCA会計X』によって人為的な集計ミスを軽減。処理時間も大幅に効率化。
- 『PCA会計X』なら工夫を加えることで、協同組合の会計にも応用できる。
- スピーディーで確実な会計処理ができ、職員・従業員の経営意識にも活用できる。
導入システム
- PCA会計X システムB
- PCA給与X システムA
導入企業とプロフィール

高知市森林組合
資本金 | 38,594千円 | 従業員数 | 12名 |
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主業種 | 林業 | ||
事業内容 | 森林管理、木材生産 他 | ||
売上高 | 123,660千円 | ||
非常勤役員 | 9名 | ||
設立年月日 | 2005年1月 | ||
所在地 | 〒781-3102 高知県高知市鏡小浜8 |
導入前の運用と課題
独自の会計基準を持つ協同組合。ベテラン担当者の“頭の中に頼る状況”を改善したい
平成24年5月から『PCA会計X』『PCA給与X』を導入している高知市森林組合。それ以前の会計処理は手書きで行われていたという。一枚一枚の伝票を手計算で集計していくため、当然時間はかかってしまう。また集計ミスに気付くまでの時間を何とか解決したかったと、総務係 係長 佐竹泰美氏は当時を振り返る。
「当時はベテランの方と私の2名体制で会計業務を行っていました。手書きの処理で困ったのは訂正の処理でした。元帳に訂正の処理を繰り返すとやはり見にくくなります。また試算表を最後に照らし合わせてやっとミスに気付くという状態でした。そのミスが計算ミスなのか、それとも伝票の数字を起こした時のミスなのかを突き止めるために、また一枚一枚伝票を確認する。このように計算と確認にかける時間が大きな負担になっていました」
同組合が会計ソフトの導入に時間をかけたのには理由がある。森林組合に限らず、農協や漁協などの協同組合はそれぞれ一般企業とは異なる独自の会計基準を持っている。そのためそれぞれの組合の会計基準に100%適した会計システムを求めるのなら、一からシステムを構築していくか、あるいはかなり高額な専用ソフトを購入するかの二者択一になってしまう。大規模な森林組合ならその選択は可能だが、小さな規模の組合では高額なシステム構築や専用ソフトの購入は厳しい。そのため組合の会計基準に長年慣れてきたベテラン担当者の手書き処理に頼らざるを得ない面があった。
「しかし、そのベテランの方が退職されることになり、同じように処理できる人がいない状況になりました。数字の流れやルールはベテランの方の“頭の中”に入ってましたからね。そこで業務の負担を軽減でき、かつ誰もが操作しやすく理解でき、特殊な組合会計にも対応できる会計ソフトがないかを、OA機器を担当してくださっているメーカーさんに相談したところ、PCAを紹介してもらいました」

総務係 係長
佐竹 泰美 氏
導入後の効果
組合の独自会計基準を熟知するPCAインストラクターによる指導
労力がかかっていた手書きの伝票処理だが、それが結果として役に立った面もあると佐竹氏は語る。
「初め私は商業簿記の知識しかなかったのですが、一枚一枚伝票をめくる処理を経験したことで、森林組合簿記の中身を理解することができたのです。そしてこのことによって『PCA会計X』を当組合に合わせて使用していくための基準も見える結果となりました」
これに加えて、導入時に指導を行ったPCAインストラクターの力も大きかったという。
「導入時の指導に来てくださったPCAインストラクターの方が、以前、漁業組合での導入指導の経験がある方でした。当初は『本当に私の話をわかってくれるだろうか、森林組合の特殊な会計基準を理解してくれるだろうか』と不安もありましたが、その不安は無用でした。私の話もよく理解してくださってスムーズに導入でき、当時は私がまだ慣れていない時でしたから、そのインストラクターの方の対応は心強かったです」
摘要を利用することで事業ごとの集計・検索が容易に
『PCA会計X』について、まずはその検索性の高さに便利さを感じていると佐竹氏は評価する。同組合では摘要欄を上手に利用しており、あらかじめよく利用する摘要文を登録しておき、後から簡単に検索・集計できるようしている。摘要欄には全角128文字まで入力できる。この摘要をもとに科目別・補助科目別の明細書も作成できるため、事業ごとの管理が求められる森林組合の場合は、この摘要集計を使って事業ごとの数字を把握することもできる。補助元帳から事業ごとに「今、いくらこの事業にお金がかかっているか」を集計し、それを現場で働く技術部の従業員にも積極的に開示しているそうだ。
またCSV変換の容易さも便利な機能だと佐竹氏は語る。「一般企業向けの『PCA会計X』を森林組合に応用していますから、『PCA会計X』内の機能では集計できない部分も出てきます。その場合は、CSVに変換し、それをExcel®で処理することになるのですが、この一連の変換操作も非常に簡単にできます。この部分は本当に助かっている部分ですね」
最大の効果は「職員・従業員間の数字の共有」。それを経営改善にも活かす
このような検索・集計機能によって出力された帳票は、職員がみんなで閲覧できるようファイリングされている。この「数字の共有化」は、PCA製品を導入することで得られたとても大きな効果だったと佐竹氏は語る。
「PCAソフトを導入した年は、経営計画に取り組む初年度でもありました。そのため数字にスピード感をもたせたことはとても意味が大きかったのです。組合事業とはいえ、ふたを開けたら赤字だったという状況は、今は許されない時代です。組合員の方に少しでも利益を還元するためにも、事務職員も現場の従業員も経営意識を持つことが先決で、そのためには『数字をみんなで共有できること』は前提です。ですから数字をスピーディーに職員・従業員たちに知らせ共有できることは、PCA製品導入の大変大きな効果でした」
このように「数字をわかりやすく共有できること」という視点から、PCAには帳票類をもう少し工夫してほしいとも語る。
「例えば伝票番号と日付をそれぞれフォントが変えられたら、より見やすいと思います。特に合計残高試算表については、当組合の場合たくさんの補助科目を作っているので、数字が少し見にくいです。コスト削減のためモノクロ印刷で出力しているので、例えば文字を斜体にするだけでも見やすさは変わってくるように思います」
最初に「出力帳票集」を見ることで、組合会計への応用のヒントに
佐竹氏からは、帳票を元にPCAソフトをよりスムーズに導入できるアドバイスもいただいた。
「PCAソフトにはそれぞれ『出力帳票集』が付いています。私の場合はマニュアルを完読するよりも、この帳票集を最初に見て『この集計はできて、あの集計はできない』というヒントにしました。帳票集は集計の答えが集まっているので、組合会計を一般の会計ソフトで応用する場合にも、何が応用できて、何が応用できないかの参考にできると思います」
『PCA給与X』についても、社会保険料率や年末調整などは以前よりかなり負担が減り、何よりもミスのない計算ができる点について安心しているという。
『PCA会計X』『PCA給与X』の導入によって、業務が大きく効率化した高知市森林組合だが、PCAソフトは税理士との信頼感も深めるツールにもなったと佐竹氏は語る。
「税理士の先生がよく気に留めておられたのが、消費税の計算でした。組合事業の場合、課税・非課税の設定が複雑で、手計算の頃には伝票を一枚一枚確認する必要があったのですが、今は消費税集計表や消費税明細書によって消費税の見通しがつくようになりました。『数字が見えるようになったこと』は職員・従業員・税理士の先生それぞれにとって好都合だったと思います」


伐採・造材・集材・搬出の作業をしています。プロセッサという重機で、伐採した立木を集めながら長さを切り揃えています。


森林組合は、山の手入れ、植え付け、伐採、山の売買等のお手伝いをする協同組合です。森林の近くには必ずあり、組合員でなくても相談をすることができます。
また高知には、活発に活動し、全国からも注目されている森林組合がたくさんあり、高知市森林組合もそのひとつです。

今後の展望
現在、高知市森林組合では組合員の世代交代を進めており、そのためにも若い人たちが安心して林業の職に就ける環境を整えていきたいそうだ。
「当組合が受け持つ森林は、高知市の水源である鏡川の流域に広がっています。高知市の人々においしい水を届けるためにも森林の手入れは必要です。そのような意識も持ってどんどん若い人に森林事業に参加していただきたいです。そのためにも当組合が安心して働いていただける環境を作らなければなりません。その環境づくりのためにもPCA製品を活用しながら当職員たちが高い経営意識を持って、今後も取り組んでいきたいです」
様々な導入事例をまとめたガイドブックをはじめ
各製品の資料も是非ご覧ください。
ピー・シー・エーから一言
『PCA会計X』『PCA給与X』をご利用いただき誠にありがとうございます。
組合会計は特殊な部分もあり、事業ごとの報告書などがフィットしないことがあるかと思いますが、摘要集計機能を応用した活用方法は、他のお客様にも大変参考になると思います。カスタマイズなしで使いこなしていただいている成功事例としてご紹介できて何よりです。『PCA会計X』をご導入頂いております組合様がどのくらいあるのか気になりましたので調査してみました。
現行法人格で28法人ございました。適用されている法人格は次の通りです。
労働保険事務組合・管理組合法人・企業組合・技術研究組合・協業組合・協働組合連合会・漁業協同組合・漁業協同組合連合会・漁業生産組合・健康保険組合・事業協同組合・
酒造組合・商工組合・証拠組合連合会・商店街振興組合・商店街振興組合連合会・消費生活協同組合・森林組合・森林組合連合会・水産加工業協同組合・水産加工業協働組合連合会・
生活衛生同業組合・たばこ耕作組合・協業協同組合・農業協同組合連合会・農事組合法人・輸入組合・労働組合
また法人格はありませんが、2005年から施行された「有限責任事業組合契約に関する法律」に基づく「有限責任事業組合(LLP)」にも導入実績がございました。
届出書類や管理方法によっては『PCA公益法人会計』シリーズをご適用されている組合様もございますので、実際はもう少し多くの組合様にご導入いただいていると思われます。
ご検討されておられます組合様がございましたら一度お問い合わせいただければと思います。ノンカスタマイズでもある程度の組合会計を適用ができると思います。
また帳票類の出力の仕方については、具体的なご意見をありがとうございます。
以前より情報量も多くなっておりますが、印刷する用紙のサイズは変わりませんので、いかに文字・数値を見やすくできるか、お客様目線で考えていきたいと思います。
これからも職員様・従業員様と“数字を共有できるコミュニケーションツール”として、PCA製品をご愛用いただければと思います。
『PCA会計X』をご活用いただきありがとうございます。
想像以上に機能を使いこなされているので、開発者の一人として大変嬉しく思いました。ぜひ消費税対応版で強化した機能もご活用ください。
印刷に関してのご意見もありがとうございます。合計行や伝票日付の見やすさなど、具体的な指摘はありがたく思います。 今後改善していくべき点だと感じていますので、今後ともよろしくお願いいたします。