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障害年金について

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障害年金についてご存じですか?

「障害年金」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか?
聞いたことはあるけれど内容をよく知らない、という方もいらっしゃると思います。

残念ながら、障害年金のことはまだあまり多くの人に知られていません。「年をとったらもらえるあの年金ですか?」と、よく聞かれます。
ご自身やご家族が健康であれば、障害年金について考えることなどないかもしれません。しかし、病気やけがというものは、いつ、だれがそうなるかわからないものです。
そして実際に、大きなけがをしたり、病気になると、その後の生活についていろいろな不安が出てきます。その不安のひとつが、生活を支えるお金のことではないでしょうか?

障害年金が受給できれば、もしかしたらそのような不安が少しは無くなるかもしれません。
しかし、本来この制度を利用されるべき、ご苦労されている方やそのご家族が、この制度のことを知らないばかりに、本来であれば受けられるはずの保障を受けられずにいます。
また、障害年金の申請をするのに準備がたいへん、やり方がわからない等、制度のしくみが難しすぎて、申請できずにおられる方も多くいらっしゃいます。

そこで今回、障害年金がどのようなものかその制度について説明します。

障害年金 受給の3条件

障害年金を受給するためには、以下の3つの要件をクリアしないといけません。

Ⅰ:初診日要件

障害年金の申請をするとき、まず確認するのがこの初診日です。この日付を特定しなければなりません。
初診日とは、その症状で初めて医師の診察を受けた日です。(病気を発症した日ではありません)
この初診日の時点でどの年金制度に加入していたかによって、請求する障害年金の種類が変わってきます。
会社員である日に初診日があれば厚生年金、自営業や学生や主婦であれば国民年金、公務員の場合は共済年金、といった具合です。
また、初診日の時点でそれまで保険料を払っているかを確認します。

このように、初診日は障害年金の受給権の有無や受給金額を左右するとても重要な日付、ということになります。

ところで、この初診日が特定しづらいケースが時々あります。
たとえば、うつ病などの精神疾患の場合、精神科や心療内科を受診する前に、頭痛により近所の内科を受診していれば、その日が初診日として認定されることがあります。

ちなみに、障害年金の初診日は、医師または歯科医師の診療を受けた日、とされていますので、整骨院や鍼灸院等は初診日として認められません。

Ⅱ:保険料納付要件

Ⅰで初診日が確定したら、次に保険料を納めているか(未納がないか)をみます。
初診日の前々月において、直近1年間に保険料の未納がなければ、この要件はクリアです。
たとえば、初診日が1010日だとすると、前々月の8月から1年分さかのぼって確認します。
会社員の場合は、給与から社会保険料が天引きされていれば、会社が納めているのでわかりやすいですが、初診日の当時、自営業や無職だった方などは注意が必要です。

※国民年金の保険料を払えない方が、免除の申請をしていれば、未納にはなりません。

このように、初診日の直前1年間に未納がなければ納付要件はクリアですが、1ヶ月でも未納がある場合は、次に、過去の納付状況をすべて確認して判断します。
このとき、全体で3分の2以上納めていれば、納付要件はクリアです。逆に3分の1を超えて未納があれば、納付要件を満たさず、障害年金を受給できません。

ちなみに、保険料の未納があるかないかは、初診日の前日において判断されます。
たとえば、午前中に病院に行ってうつ病と診断されて、その日の午後に過去の保険料を払ってもダメ、ということです。

Ⅲ:障害認定日要件

次に、障害の程度が、障害認定日において、障害等級に該当するかどうか判断されます。
ごく簡単にいうと、障害等級は次のとおりです。

  • 1級:要介護状態・・・寝たきり
  • 2級:労働ができない + 日常生活に何らかの制限
  • 3級:労働に何らかの制限

障害認定日とは、原則は、初診日から16ヶ月後の日ですが、それ以前に症状が固定した日はその日となります。また、次のような例外もあります。
下記の傷病の場合は、初診日から16ヶ月後の日、または、下記の日のうち、早いほうの日が障害認定日となります。

(1)人工透析療法を行っている場合は、透析を受けはじめてから3ヶ月を経過した日
(2)人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合は、挿入置換した日
(3)心臓ペースメーカーまたは人工弁の装着をした場合は、装着した日
(4)人工肛門または新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術を施した日
(5)切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断をした日
(6)喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
(7)在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

上記以外にも、たとえば脳出血の場合も16ヶ月を待たずに請求できることがあります。
ただし、精神疾患(たとえば、統合失調症、躁鬱病、うつ病など)の場合は、原則通り初診日から16ヶ月を経過した後で請求することになります。

障害年金 もらえる額は?

障害年金に関するご相談で一番多い内容は、ご自身の障害でもらえるのか?、ということと、いくらもらえるか?(受給額)、ということです。

ここでは、もらえる額(障害年金の受給額)について、ご説明します。

※障害年金は非課税です。収入が障害年金だけであれば、確定申告は不要です。

障害基礎年金

1級】795,000円 × 1.25 = 993,750円 + 子の加算額
2級】795,000円 + 子の加算

  • 1子・第2子 ・・・ 各 228,700
  • 3子以降 ・・・・・ 各 76,200

※子とは、18歳到達年度の3/31までの子、もしくは、20歳未満で障害等級1級または2級の子

障害厚生年金

1級】報酬比例の年金額 × 1.25 + 障害基礎年金1級 + 配偶者の加給年金額(228,700円)
【2級】報酬比例の年金額 + 障害基礎年金2級 + 配偶者の加給年金額(228,700円)
3級】報酬比例の年金額
【障害手当金】報酬比例の年金額の2年分

※配偶者の加給は、その方に生計を維持されている65歳未満の方が対象です。
※報酬比例の年金額とは・・・厚生年金加入中(在職中)の標準報酬月額の平均により決まります。つまり、在職中の給与や賞与が多ければ、この年金額も大きくなります。
3級と障害手当金は障害基礎年金にはありません。
3級には最低保障額として、596,300円が設定されています。

障害手当金

3級障害厚生年金の2年分に相当する額(最低保障額1,192,600円)が一時金として支給されます。

【障害手当金】= 報酬比例の年金額 × 2

障害年金 等級について

障害年金には、障がいの程度に応じて1級から3級までと障害手当金があります。
(3級と障害手当金は障害厚生年金のみ)その障がいの程度は下記のとおりです。

1級

他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。

2級

必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。

3級

労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。

障害手当金

「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とするような状態が障害手当金に該当します。

上記の基準はおおよそのめやすであり、実際には各部位等において細かく基準が設けられています。具体的には障害認定基準を基に認定されることになります。

特定社会保険労務士プロフィール

特定社会保険労務士 柏原 佳史(かしわばら よしふみ)

社会保険労務士法人 東京労務グループ

平成25年社会保険労務士登録

東京、福岡、熊本を中心に企業の労務顧問として経営者のサポートを行っている。
企業内の労務管理セミナーや勉強会など幅広く活動中。
障害年金の申請代行実績も多数あり。

WEBサイト:https://www.tokyokaikeigroup.com

柏原 佳史 氏 連載記事

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。