導入事例
ネットリンクス株式会社 様

「API連携で、月末業務がスムーズに回る」
『PCAクラウド』とkintoneの連携が生んだ、“待たない”販売管理
販売管理と顧客情報のデータが別々で、入力や集計業務に時間と労力を要している。こうした課題を、『PCAクラウド 商魂』とkintoneの連携で解決したのが、岡山県を拠点とするIT支援企業・ネットリンクス株式会社だ。見積から請求、入金管理までを1本の流れでつなげ、入力の重複やミスを防止。担当者ごとの負担も軽減されている。会計とITの両軸で企業を支援する同社は、今回のこの仕組みを成功モデルとして顧客にも提案していく考えだ。
導入の狙いと効果
- 導入の狙い
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- オンプレミスの販売管理システムでは月末業務が集中し、入力作業の“渋滞”や残業が常態化していた。
- 見積~売上確定~請求の流れをシームレスにつなぎ、kintoneを中心に販売管理システム間でデータ連携を実現したかった。
- 入金情報や案件ごとの損益集計など、情報共有にかかる手間や時間を削減したかった。
- 導入の効果
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- API連携によって、“順番待ち”のないスムーズな運用に。月末残業も減り、顧客情報の整合性も保たれるようになった。
- kintoneで確定したデータのみをPCAへ連携するルール運用により、PCA側での修正や削除は不要。営業社員と管理職社員の役割分担が明確になり、入力ミスや混乱も減少した。
- 連携により、共有スピードが大幅に向上。損益の整合性確認も自動化され、注意コストが大きく削減された。
導入システム
- PCAクラウド 商魂
- Kintone(サイボウズ株式会社)
導入企業とプロフィール
ネットリンクス株式会社
| 住所 | 〒700-0822 岡山県岡山市北区表町1-7-15 パークスクエアSHOWA 3F |
|---|---|
| 設立 | 平成元年8月24日 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 業種 | 情報処理 |
| 業務内容 | IT・クラウドコンサルティング/パッケージソフトの導入・保守/ネットワークの構築 |
| URL | https://www.net-links.co.jp/ |
導入前の運用と課題
分断された業務と月末の渋滞──見積・請求がスムーズに回らなかった理由
「月末に請求や売上の入力が集中して、システム入力が“渋滞”していたんです」――。ネットリンクス株式会社では、かつてオンプレミス型の販売管理システムを外部のホスティングサービス上で利用していた。
会計とIT、両面の知見を活かして中小企業の業務改善を支援している同社は、システムインテグレーターとしての顔と、税理士法人グループと連携した経理・会計支援の機能を併せ持つのが特長だ。岡山を拠点に地域密着型の支援を展開する一方、自社でもkintone(サイボウズ株式会社)などの業務プラットフォームを柔軟に活用し、社内業務の最適化に積極的に取り組んでいる。
このような先進的な企業においても、販売管理システムを満足できる運用にすることは決して簡単ではない。まず、以前の販売管理システムの場合、ライセンス数が8本に限られており、利用者が重なる月末には「誰がいつ入力するか」を調整しながらシステムを利用していた。
「見積や請求の担当者が限られていたため、月末の締め作業が近づくと、システム入力のタイミングを調整する必要があり、その対応に時間と気を遣っていました。締め処理が立て込む日は、“今日は帰れないかも”という空気になることもありましたね」(常務取締役 實成 忠氏)
残業につながる入力待ちの課題に加えて、もう一つ、顧客情報の分断という課題があった。当時の販売管理システムとkintoneに、それぞれ顧客情報が存在しており、両方のシステムに同じ情報を入力・更新する必要があった。
「たとえば、顧客の住所変更をkintoneで直しても、請求書発行元のシステムでは古いままという状態でした。担当者によって修正の有無に差が出ることもあり、ミスや情報の齟齬が発生しやすい環境でした」(實成氏)
また、案件ごとの損益計算はExcel®で別管理されており、売上や利益を把握するには、Excelと販売管理のデータを突き合わせる必要があった。複数のシステムを行き来するため、集計や整合性の確認にも手間がかかっていた。
入金状況の共有については、販売管理システムから出力した入金データをPDFに変換し、チャットツールで各担当者に通知する形式だった。
「これについては、手間とまでは言わないのですが、正直、“ボタンひとつで見えたらいいのに”と思っていました」(ソリューションアドバイザー 柳川 一博氏)
常務取締役
實成 忠氏
ソリューションアドバイザー
柳川 一博氏
選定のポイント
クラウド化、連携性、コスト──システム見直しを後押しした3つの決め手
本格的なシステム見直しに踏み切る決定打となったのは、利用していたホスティングサービスの値上げだった。
「正直、かなり大きな値上げ幅で、“この価格ならクラウドに切り替えた方がいいのでは?”という話になったんです」(實成氏)
加えて、すでにkintoneを業務基盤として活用していた同社にとって、「kintoneと連携できるクラウドサービスかどうか」は、新システム選定の大きなポイントだった。
「kintoneで見積や案件管理を行い、その最終的な売上データを販売管理システムに連携させたいというニーズがありました。しかし、以前の販売管理システムでは、その連携が難しかったんです」(プログラマー 戸越 悠花氏)
「PCA以外のメーカーももちろん比較検討はしました。ただし、“APIでちゃんと連携できる”という点で『PCAクラウド 商魂』が頭一つ抜け出ていました。価格面も、トータルで考えると現状より安くなるとわかり、迷いはなかったですね」(柳川氏)
複数のツールを比較検討した結果、「クラウド化」「kintoneとの親和性」「コストメリット」という3点を備えた『PCAクラウド 商魂』を導入することに決定。これを機に、販売・見積・請求といった業務の流れ全体を変えていく取り組みがスタートした。
プログラマー
戸越 悠花氏
導入のメリット
月末業務の“順番待ち”が解消。前倒し運用で、入力業務の工程も減少
『PCAクラウド 商魂』とkintoneのAPI連携の運用に切り替えたことで、まず体感できたのは月末のピークの平準化だった。
「月末業務の“順番待ち”がなくなり、業務負荷の分散が実現しました。以前はライセンス数や作業担当の制約から、入力のタイミングを調整し合う必要がありましたが、現在は“月末を待たずに前倒しで売上データを確定・連携する”というスムーズな運用ができています」(柳川氏)
「売上データを確定するまではkintone上で管理し、最終的に確定したものだけを『PCAクラウド 商魂』に流すというルールにしています。これによって、PCA側では基本的に修正や削除が発生せず、触るのは確定済みデータのみです」(實成氏)
これにより、後戻りや二度手間を防ぎ、締め処理~請求書発行までの業務もシンプルに統制できるようになっている。
顧客マスターの運用についても、主にkintoneで管理しており、必要な情報がPCA側に反映される仕組みだ。これにより、情報の不一致が発生しにくくなった。
「APIで連携できる」という当初希望していた要件を満たしたことで、CSVでのエクスポート/インポートや手作業での取り込みは不要に。一連の処理を自動化することで、転記作業のリスクは大幅に低下している。
「入力回数が減るというのは、現場にとって想像以上にラクなんです。“どちらを直せば正なのか”という迷いが消えるのも、大きなポイントでした」(實成氏)

入金・損益の“見える化”と共有スピードの向上
入金消込の共有についても、『PCAクラウド 商魂』の入金伝票データをkintone側へ引き込み、チャットツールに自動通知できる仕組みを整備。PDF出力→チャット添付のフローが、現在は不要になった。
「今はボタンひとつで“どこに、いくら入ったか”が一覧で確認できます。見に行けば最新の状態が取れる、というのは運用的にも心理的にも安心ですね」(柳川氏)
案件ごとの損益集計については、最終売上データをPCA側で確定し、kintone側で分析を行うフローに変更。かつての“Excelで売上と利益を突き合わせる”運用から脱却し、数字の整合性確認にかかる時間と注意コストを圧縮している。
「売上データを確認し、締め処理から請求書発行までを行う一連の業務フローの中で、“どのタイミングで・どのデータをチェックすればよいか”が明確になり、業務の迷いや重複がなくなりました」(實成氏)
社内実践をベースに、顧客への提案にも拡張
今回の販売管理システムの刷新によって、ネットリンクスでは自社の業務効率化を実現しただけでなく、「社内で実際に使っている仕組みだからこそ、安心して顧客にも提案できる」(實成氏)という好循環も生まれている。すでに複数のクライアントに対して、kintoneと『PCAクラウド 商魂』の連携による業務最適化の提案を始めており、「現場での改善効果をそのままお伝えできるのが強み」と自信をのぞかせる。
様々な導入プロジェクトをプログラマーとして支援している戸越氏も、「API連携だからこそ、処理の自動化が可能で、運用上の工夫の幅が広がる」と語る。たとえば、同社の場合は、営業社員が日々入力するのはkintoneのみで、PCA側にデータが送られた後は、基本的に管理部門側で請求処理や締め業務を行う、という分担が明確になっている。
今後の課題と展望
ネットリンクスでは今後、『PCA Hub 取引明細』の活用も検討している。請求書の発行についても、従来の印刷・封入・郵送といった運用から脱却し、取引先ごとにWeb上で閲覧・ダウンロードできる仕組みに切り替える構想だ。社内業務の効率化にとどまらず、顧客への利便性提供にも踏み込もうとしている。
こうした取り組みの背景には、同社の文化として根づく「柔軟な働き方」と「IT活用による業務改善」がある。実際、ネットリンクスではコロナ禍以前からテレワーク制度を整備しており、子育て中の社員や女性の働きやすさにも配慮。こうした姿勢が評価され、総務省の「テレワーク先駆者百選」にも選出された実績を持つ。同社は「会計」と「IT」──二軸の専門性を活かしながら、今後も地域の中小企業を継続的に支援していく。そのためにも、自社で実践し成果を上げた業務プロセスの改善モデルを、顧客向け提案にもどんどん広げていく構えだ。
https://www.net-links.co.jp/
様々な導入事例をまとめたガイドブックをはじめ
各製品の資料も是非ご覧ください。
ピー・シー・エーから一言
『PCAクラウド 商魂・商管』をご利用いただきありがとうございます。
『kintone』とのAPI連携を活用し、月末業務の効率化やデータ整合性の向上といった成果を実現されたこと、大変嬉しく思います。また、業務改善の成功モデルとして顧客提案にも活用いただいていることは、私たちにとっても大きな励みとなっています。
『PCAクラウド 商魂・商管』では様々なシステムと連携できるようにAPIの実装に力を入れています。
機能の追加や改善は今後も継続し、お客様にとってさらに便利なサービスを提供できるよう努めてまいります。
引き続きPCA製品をご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
「PCAクラウド」および「PCAクラウド連携プラグイン for キントーン」をご利用いただき、まことにありがとうございます。 kintoneを活用したご利用は、業務効率化、クラウド活用による働きやすさの向上と 弊社としても理想的な事例になったと存じます。 また、貴社で構築されたノウハウを他のお客様へのご提案で活かしていただければ幸いです。 今後も「PCAクラウド連携プラグイン for キントーン」の改善を続けてまいりますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
『PCAクラウド商魂』をご利用いただき誠にありがとうございます。 商魂とkintoneを組み合わせたご提案は弊社としても注力している分野であり、貴社での導入事例は大変貴重なものとなりました。 APIを通じたシステム連携を強化していくことで、業務改善だけにとどまらず働き方もより良くなるようなご提案に繋げてまいります。 引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。