導入事例

公益社団法人 土木学会 様

公益社団法人 土木学会 様

4万件の勘定科目と紙文化――複雑な会計処理を“3秒”で仕訳へつなぐ「連携の力」

月末になると、経理課の机の上には紙の伝票が山のように積み上がる…。勘定科目は約4万件に膨れ上がり、公益法人特有の複雑な会計構造と紙文化が業務を滞らせている――。公益社団法人土木学会では、こうした状況を打破するために『PCAクラウド 公益法人会計』とkintoneの連携による仕訳の自動反映を開始。仕訳反映時間はわずか3秒になり、決裁のスピードと業務効率を劇的に改善している。現場と経理の連携を強化しながら、紙ベースの稟議から脱却した同団体の取り組みをすすめている。

導入の狙いと効果

導入の狙い
  • 紙中心の稟議・伝票処理を効率化し、処理の遅れを解消したい。
  • 膨大な伝票や勘定科目を整理し、監査対応をスムーズにしたい。
  • 経理担当者への集中を防ぎ、持続可能な体制を整えたい。
導入の効果
  • 『PCAクラウド 公益法人会計』とkintoneの連携で、支出伝票の仕訳反映をリアルタイム化。月末のピーク負荷が大幅に軽減され、決裁スピードと処理の平準化が進んだ。
  • 紙の稟議を大幅に軽減し、データ管理によって資料の所在把握が容易に。監査準備の負荷が軽減され、内部統制の強化にもつながった。
  • 申請〜仕訳〜反映の流れがシステム上で可視化され、他の職員でも対応可能な運用体制を構築。属人化が解消し、リスク分散と継続性が高まった。

導入システム

  • PCAクラウド 公益法人会計
  • kintone (キントーン:サイボウズ株式会社)

導入企業とプロフィール

公益社団法人 土木学会

住所 160-0004 東京都新宿区四谷一丁目 外濠公園内
業種 非営利法人
URL https://www.jsce.or.jp/
業務内容 国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」(土木学会定款)ことを目指し、以下の三つを活動の柱として、さまざまな活動を展開しています。
  • 学術・技術の進歩への貢献
  • 社会への直接的貢献
  • 会員の交流と啓発

導入前の運用と課題

膨大な勘定科目と紙の伝票──公益法人特有の構造が会計業務を圧迫

インフラ整備や防災・環境など、社会基盤を支える幅広い分野で研究・普及活動を行っている公益社団法人土木学会。全国に支部を持ち、委員会や表彰事業、講演会、国際交流など、多彩な活動を展開する学術団体だ。そのため事業区分ごとに会計処理も細かく分かれている。こうした複雑な事業構造が積み重なり、勘定科目は約4万件にまで膨れ上がっていた。

「一つの委員会、一つの事業に、それぞれ独立した会計があります。年度ごとの行事にまつわる科目も“25年度○○会”という形で積み重なっていき、勘定科目が膨らんだ理由のひとつです。さらに、公益法人では内閣府への提出も伴う複雑な会計区分があり、特に表彰事業は寄付金の使途が厳密に決まっているので、まとめるのは簡単ではありません。どうしても科目が増える一方でした」と同法人の経理を担当する吉田氏は語る。

会計処理の流れも“紙文化”が残っていた。各課の担当者がExcel®で支出伝票を作成し、紙に印刷して押印。それを経理課が受け取り、再び『PCAクラウド 公益法人会計』に手入力する。これが、毎月350〜450件。伝票は紙の束となって経理課に積み上がり、ひたすら数字を打ち込み続ける光景が、月末には当たり前のようになっていた。

「伝票をファイリングしていたのですが、1冊で100枚前後の伝票があり、それが目の前に積まれると、正直、圧倒される感じでした。入力作業は繁忙期になると腕が痛くなって……腱鞘炎になってしまったパートさんもいました。」と吉田氏は振り返る。

さらに、課題は作業量だけではない。担当者が出張などで不在になると、紙の稟議が経理に届くまで数日かかることもある。1件の処理が遅れたら、その先にある支払いにも影響する。時間と人手に追われるなかで、会計業務は常に“後手”に回っていた。

監査対応でも、紙の多さは負担だった。ファイルやバインダーを広げ、過年度の資料をめくりながら科目を確認する作業は大仕事になってしまう。業務の属人化も避けられず、デジタル化への課題意識は高まり続けていた。

社内風景

選定のポイント

PCAフェスで見つけた改善の糸口──現場負荷を減らす連携の可能性

業務改善の糸口となったのは、吉田氏が足を運んだPCAフェスのイベントだった。そこで『PCAクラウド 公益法人会計』とkintoneを連携できるプラグインの存在を知る。伝票入力から仕訳反映までを自動化できるという話を聞き、「これなら負荷を減らせるかもしれない」とすぐにPCA側に相談を持ちかけたという。

「もともと『PCA 公益法人会計』を長く使っており信頼もありました。操作が複雑すぎないのもポイントでしたね」(吉田氏)

比較検討の段階では、他社のシステムも候補に上がった。しかし操作性や既存業務との親和性、信頼性の面でPCAの優位性が明確だった。

「新しいものを一から導入するよりも、今使っているPCAに“連携を加える”という発想の方が現実的でした。現場にも無理なく浸透させられると考えました」と吉田氏は語る。

会社外観

導入のメリット

PCAと二人三脚で進めた大規模な連携の最適化

導入プロジェクトの最初の壁となったのは、連携プラグインの仕様と土木学会の会計構造との“ギャップ”だった。同法人の勘定科目は約4万件にのぼり、標準仕様のままではデータの読み込みや処理速度に制限が生じる可能性があった。そのためPCA側と協議を重ねながら技術的な改修を進めることになった。

『PCAクラウド 公益法人会計』とkintoneの連携では、kintone上で申請・承認されたデータをプラグインを介して自動的に仕訳データとしてPCA側へ取り込む仕組みを活用している。一般的な中小規模法人であれば問題ない処理ボリュームでも、同法人のような規模になると、標準構成のままでは性能面でボトルネックになる可能性があった。

そこでPCA側の対応により、連携プラグインの改修が行われ、データ処理の上限緩和やパフォーマンスの最適化が実施された。その後、テスト環境を立ち上げ、段階的に検証を進めた。

実際の申請データと近い形で入力し、承認フローを含めた処理全体を複数パターンに分けて確認。取り込みスピード、仕訳反映のタイムラグ、科目選択時のレスポンスなどを一つずつチェックし、実運用に耐えうるかを慎重に見極めた。

「会計システムは一度トラブルが起きると影響が大きいので、とにかく丁寧にテストを重ねました。実データに近い形で入力し、パターン別に確認をしていきました」(吉田氏)

さらに、公益法人特有の複雑な事業区分にも対応するため、土木学会側では申請アプリを事業単位で分割する運用設計を導入。例えば表彰事業、調査研究事業、受託事業といった特性の異なる区分ごとにアプリを分け、担当者が該当する区分から申請する仕組みにしたことで、入力ミスの防止と照合性の向上を実現した。

構築システム概要

リアルタイム連携での月末の”待ち時間”ゼロへ&承認の進捗状況も可視化

連携導入後、日常業務の流れは大きく変わった。現在は、各課の担当者がkintone上で業者支払いの支出伝票を申請し、上長承認を経て『PCAクラウド 公益法人会計』へ即時連携される仕組みを導入。伝票入力から仕訳反映までの時間のが軽減できる。

特に大きな変化は月末のピーク負荷だ。これまでは全課の伝票が月末に集中し、経理が1枚ずつ手入力するのが常態化していた。しかし連携によって処理がリアルタイム化され、伝票が随時仕訳に反映されるようになったことで、作業が分散され、ピーク時の負担が劇的に軽減された。

さらに、クラウド上での申請・承認によって、担当者が出張中でも処理が滞らないようになった。従来は“紙の伝票が経理に届かない”ことがボトルネックの要因となり、決裁が遅れ、支払いスケジュールへの影響が心配されていたが、それが解消されたことで、決裁のスピードと確実性も大きく向上している。

また、申請状況や処理の進捗がkintone上で可視化されるため、経理と現場の双方が同じ情報をリアルタイムで把握できるようになった点も大きい。属人的なフォローや「いまどこで止まっているのか」といった確認作業も減り、業務全体の平準化とスピードアップが進んでいる。

監査対応と属人化の課題を一挙に改善

紙の資料を束ねて行っていた監査準備も、デジタル化によって大きく変わりつつある。これまで紙で回覧・保管されていた伝票は、関連部署への展開のたびに出力・再入力が発生し、二重入力や複数入力による承認手続きの長期化が課題となっていた。申請から承認までをkintone上で完結させる運用への移行を目指し、本年度に入ってから半年〜1年程度をかけてテスト運用のレビューを重ね、現場からの質問や意見を収集しながら見直しを進めている段階である。監査側からも「紙は減らしていった方がいい」という指摘を受けていた背景もあり、運用の見直しは着実に前進している。データ化によって資料の所在をたどる手間が軽減されることは、テスト運用を通じて現場でも手応えが得られつつある。以前のようにファイルをめくり、バインダーを抱えて資料を探す必要がなくなることで、監査対応に掛かる時間や負担が軽くなると、担当者は期待を語る。

また、属人化の解消も見え始めている。申請〜仕訳〜反映の流れがシステム上で整理・可視化されたことで、他の課の職員であっても自分が起票した以外の申請内容を把握しやすくなることが見込まれている。現在は法人内でのテスト運用を重ねている段階であり、今後はより幅広い職員が関与できる体制への移行を目指している。業務効率化にとどまらず、組織全体のリスク分散にもつながる重要な変化として、本格運用に向けた取り組みが続けられている。

今後の課題と展望

現在、仕訳連携の対象となっているのは本部における業者支払いの支出伝票で、旅費精算や領収書処理などはまだ対応範囲外にある。今後は、これら周辺業務への連携展開を検討している。現状では未対応の支部会計も、将来的な展開に向けた課題のひとつだ。

さらに、予算システムとの連携を活用し、2〜3年をかけて勘定科目の整理を進める計画もある。あわせて、経理業務が特定の担当者に集中しないよう、人材育成と運用文化の醸成にも注力していく方針だ。社会基盤を支える多様な事業を展開する学術団体として、業務の効率化と運用基盤の強化を着実に進めることで、より安定した活動基盤の構築を目指している。

公益社団法人 土木学会 HP
https://www.jsce.or.jp/

ピー・シー・エーから一言

  • 営業コメント

    勘定科目が何万件もあり、紙伝票が山積みになる!しかも、複数の公益事業ごとに取引を分けて管理しなければならない。経理担当の方なら、その大変さがきっと伝わると思います。

    今回の土木学会様は、こうした業務の負荷を減らすため、kintoneとPCAクラウドのリアルタイム連携に挑戦しました。
    公益事業ごとにkintoneアプリを分けて構築するという工夫も大きな成功の要因です。これにより入力ミスの防止や処理の見える化が進み、現場と経理の連携が格段にスムーズになりました。

    さらに印象的だったのは、この構想を一人のご担当者が中心となって推進し、関係者が「やってみよう」と賛同されたこと。法人内の協力体制が整っていたからこそ、システム拡張も円滑に進みました。
    私たちPCAとしても、標準仕様を超える大規模データ対応に向けた改修を行い、柔軟な対応力を磨く貴重な機会になりました。

    現場とともに考え、つくり上げた今回の仕組みは、まさに"連携の力"そのもの。
    日々の経理業務を少しでも軽くしたい!
    そんな皆さまにも、きっと共感いただける取り組みだと思います。

  • 開発コメント

    このたびは、PCAクラウド 公益法人会計をご利用いただき、誠にありがとうございます。
    約4万件という大規模な勘定科目や紙稟議の課題に向き合う中で、皆さまの運用の工夫とともにお力添えできたことを嬉しく思います。
    最短約3秒の仕訳反映によって、月末のピーク平準化や決裁スピードの向上、監査対応の負担軽減に貢献できた点は、開発者として大きな励みです。

    これからも業務改善のお役に立てるよう、品質向上とサポート情報の充実に努めてまいります。

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